監修:弁護士 齊藤 翔平(埼玉弁護士会所属/大宮ありあけ法律事務所)
建物の解体の現場で長く働いていた。造船所で船の修理をしていた。自動車の整備工場で、ブレーキの交換をしていた。こうした仕事の中には、知らないうちにアスベストを吸い込んでしまうものがありました。
アスベストは、かつて建材や断熱材、ブレーキの部品など、さまざまな製品に使われていました。そのため、建設現場で働く人だけでなく、幅広い仕事の方が、アスベストにさらされていた可能性があります。
この記事では、アスベストを吸い込みやすかった主な仕事と、仕事ごとに使える補償の制度を解説します。
こんな疑問はありませんか?
- 解体の仕事をしていた。
アスベストを吸っていた可能性はある? - 造船所や自動車整備工場の仕事も、補償の対象になる?
- 建設アスベスト給付金は、どの仕事なら対象?
- 何十年も前の仕事でも、請求できる?
この記事でわかること
- アスベストを吸い込みやすかった主な仕事
- 仕事ごとに使える補償の制度
- 補償を受けるための準備
アスベストを吸い込みやすかった主な仕事
| 解体工事 | 吹付けアスベストや、アスベストを含む建材を壊すときに、粉じんが舞う |
|---|---|
| 造船・船の修理 | 船の断熱材や保温材に、アスベストが多く使われていた |
| 自動車の整備 | ブレーキやクラッチの部品に、アスベストを含むものがあった |
| 配管・ボイラーの工事 | 配管の保温材や、ボイラーの断熱材にアスベストが使われていた |
| 電気工事・内装工事 | 天井裏や壁の中の作業で、アスベストを含む建材に触れることがあった |
直接アスベストを扱っていなくても、同じ現場でほかの作業員が作業をしていたことで、吸い込んでいる場合もあります。
仕事ごとに使える補償の制度
- 労災保険:仕事でアスベストを吸い込んで病気になった労働者が対象。
どの業種でも利用できる - 建設アスベスト給付金:建設現場での作業(解体工事などを含む)が対象。
対象の期間や作業に条件がある - 国との裁判による賠償金:石綿工場や、工場の中で石綿を扱う作業をしていた方が対象
- 会社への損害賠償:会社が安全への配慮を怠っていた場合
POINT 造船所や自動車整備工場での仕事は、建設アスベスト給付金の対象にはならないのが一般的ですが、労災保険の対象にはなりえます。どの制度を使えるかは、職歴をていねいに確認して判断します。
アスベストに関わる仕事をしていた方のご相談を受け付けています
職歴を伺い、使える補償の制度をご説明します。ご家族からのご相談も歓迎です。
補償を受けるための準備
- 働いていた会社と時期を、年金の加入記録などで確認する
- どの現場で、どんな作業をしていたかを書き出す
- 一緒に働いていた同僚の連絡先を確認する
- 診断書や、検査の記録を確保する
職歴の整理のしかたは「どこでアスベストを吸ったかわからないとき」でも解説しています。
よくある質問
Q. ブレーキ交換はいつまで危険があった?
平成16年(2004年)に、アスベストを含むブレーキやクラッチなどの製品の製造や使用が、原則として禁止されました。それより前に整備の仕事をしていた方は、念のため健康状態に注意し、心配な症状があれば医療機関に相談しましょう。
Q. 一人親方として解体工事をしていました。
一人親方の方も、建設アスベスト給付金の対象になる場合があります。労災保険の特別加入をしていた場合は、労災の対象にもなりえます。
Q. 今は健康ですが、何かしておくべきことはありますか?
アスベストを吸い込む仕事をしていた方は、定期的に健康診断を受けておくと安心です。職歴の記録も、整理しておきましょう。
まとめ
解体工事、造船、自動車整備など、幅広い仕事でアスベストを吸い込んでいた可能性があります。
仕事の内容によって使える補償の制度が変わるため、職歴を整理したうえで、まずはご相談ください。