監修:弁護士 齊藤 翔平(埼玉弁護士会所属/大宮ありあけ法律事務所)
石綿工場や、工場の中で石綿を扱う作業をしていた方が、アスベストが原因で病気になった場合、国に賠償金を請求できる可能性があります。国の責任を認めた最高裁判所の判決を受けて、一定の条件を満たす方は、国と和解することで賠償金を受け取れるようになっています。
石綿工場や工場内で石綿を扱っていた方の被害については、国の責任を認めた最高裁判所の判決をきっかけに、国と和解して賠償金を受け取る道が開かれています。ただ、そのためには裁判の手続きが必要で、働いていたことを示す資料の準備が大切になります。
こんな疑問はありませんか?
- 昔、石綿工場や工場の中で石綿を扱う作業をしていた
- 国に賠償金を請求できる?
- なぜ裁判を起こす必要があるの?
- 工場で働いていた証拠がない
- 亡くなった家族の分も請求できる?
この記事でわかること
- 国に賠償金を請求できる方
- 賠償金を受け取る流れ
- 準備しておきたい資料
国に賠償金を請求できる方
次の条件を満たす方とそのご遺族は、国に賠償金を請求できる可能性があります。
- 昭和33年5月26日〜昭和46年4月28日の間に、石綿工場や、工場の中で石綿を扱う作業(石綿の粉じんが発生する屋内の作業場での作業)をしていた
- 中皮腫、肺がん、びまん性胸膜肥厚、石綿肺、良性石綿胸水などの病気を発症した
賠償金を受け取る流れ
国から賠償金を受け取るには、国を相手に裁判(国家賠償請求訴訟)を起こし、その中で国と和解をする必要があります。裁判といっても、条件を満たすことが確認できれば、和解によって解決するのが一般的です。
POINT 賠償金の金額は、病気の種類や症状によって決まり、最大で1,300万円です。
石綿工場で働いていた方のご相談を受け付けています
ご遺族からのご相談もお受けしています。
準備しておきたい資料
- 工場で働いていたことや、石綿を扱う作業をしていたことがわかる資料(年金の加入記録、給与明細、同僚の証言など)
- 病気の診断書やカルテ
- 労災の認定を受けている場合は、その書類
- ご遺族の場合は、戸籍などの相続関係がわかる資料
何十年も前の勤務の資料は、手元に残っていないことも多くあります。資料がない場合の調べ方は「どこでアスベストを吸ったかわからない、昔の職歴の資料がないとき」で解説しています。
弁護士に依頼するメリット
国との裁判には裁判の手続きが必要なため、弁護士に依頼して進めるのが一般的です。資料の収集から裁判、和解までを任せることができます。
働いていた証拠の探し方
- 年金事務所で、厚生年金の加入記録(勤めていた会社と期間)を確認する
- 給与明細や源泉徴収票、社員証などが残っていないか探す
- 同じ工場で働いていた同僚の証言を集める
- 労災の記録がある場合は、その資料を取り寄せる
よくある質問
Q. 裁判を起こすと、何度も裁判所に行かないといけませんか?
弁護士に依頼すれば、多くの手続きを弁護士が行うため、ご本人の負担を減らすことができます。
Q. 工場の近くに住んでいた家族も、国に請求できますか?
国との裁判の対象は、主に工場で働いていた方です。近隣の住民の方などは、石綿健康被害救済制度などを検討します。
Q. 賠償金を受け取るまで、どのくらいかかりますか?
事案によって異なりますが、資料の準備から和解まで、1年程度かかることもあります。
まとめ
石綿工場や、工場の中で石綿を扱う作業をしていて病気になった方やご遺族は、国との裁判で賠償金を受け取れる可能性があります。
勤務の資料がそろわない場合も、まずはご相談ください。