監修:弁護士 佐藤 都(埼玉弁護士会所属/大宮ありあけ法律事務所)
保険会社と示談の話し合いを続けてきたけれど、金額の折り合いがつかない。かといって、裁判まではしたくない。そんなときに利用を検討したいのが、交通事故紛争処理センターです。中立の弁護士が間に入り、無料で和解のあっせんをしてくれます。裁判に比べて、早く解決できることが多いのも特徴です。
この記事では、交通事故紛争処理センターの特徴と利用の流れ、裁判との違い、利用するときの注意点を解説します。
こんな疑問はありませんか?
- 保険会社と示談がまとまらない
- 交通事故紛争処理センターって、どんなところ?
- 費用はかかる?
- 裁判とは、何が違う?
- 弁護士に頼んだほうがいい?
この記事でわかること
- 紛争処理センターの特徴
- 利用の流れ
- 裁判との違い
- 利用するときの注意点
交通事故紛争処理センターとは
交通事故紛争処理センターは、自動車事故の損害賠償をめぐる争いを、中立の立場で解決するための機関です。センターの相談担当の弁護士が、被害者と保険会社の間に入って、和解のあっせんを行います。
- 利用料は無料
- 全国に本部・支部・相談室があり、埼玉県にはさいたま相談室がある
- 損害額は、裁判で使われる基準に近い考え方で検討されることが多い
- 裁判に比べて、解決までの時間が短いことが多い
利用の流れ
- 電話で相談の予約をする
- 初回の相談で、相談担当の弁護士に事故の内容や争いの点を説明する
- 和解のあっせん:相手方の保険会社の担当者も出席し、相談担当の弁護士が、双方の言い分を聞いて和解案を示す
- 和解がまとまらない場合は、審査を申し立てることができる
- 審査会が判断(裁定)を示し、被害者が同意すれば、保険会社はその判断を尊重することになっている
和解のあっせんは、1回1時間以内が目安です。紛争処理センターによると、和解が成立する場合、人身事故では通常3〜4回、物損事故では通常3回程度の出席で成立しており、3回までのあっせんで約7割、5回までで約9割の事案で和解が成立しています。事案によって異なりますが、2〜3か月程度で解決することが多くあります。
POINT 審査会の判断に、被害者は必ず従わなければならないわけではありません。納得できない場合は、裁判で争うこともできます。
交通事故のご相談を受け付けています
保険会社との話し合いがまとまらない場合は、紛争処理センターや裁判の利用も含めて、お気軽にご相談ください。
裁判との違い
| 項目 | 紛争処理センター | 裁判 |
|---|---|---|
| 費用 | 無料 | 収入印紙代などが必要 |
| 解決までの期間 | 2〜3か月程度で解決することが多い | 半年から1年以上かかることも |
| 遅延損害金・弁護士費用 | 加算されないのが一般的 | 判決では加算されることがある |
| 向いているケース | 争いの点が比較的少ない | 過失割合や後遺障害の程度などで大きく争いがある |
利用するときの注意点
- 相手が任意保険に入っていない場合などは、利用が難しいことがある
- 後遺障害の等級の認定そのものに不服がある場合は、異議申立てなど別の手続きを使う
- あっせんでは、資料をもとに、自分の言い分を具体的に説明する必要がある
後遺障害の等級に納得できない場合は、「後遺障害の異議申し立て」で解説しています。
弁護士に依頼して利用することもできる
紛争処理センターは、ご本人で利用することもできますが、弁護士に依頼して利用することもできます。弁護士に依頼すれば、損害額の計算や資料の準備、あっせんでの説明を任せられ、紛争処理センターと裁判のどちらを選ぶかも、見通しをふまえて検討できます。
POINT 弁護士費用特約があれば、紛争処理センターを利用するときの弁護士費用も、多くの場合、特約で補償されます。
よくある質問
Q. 紛争処理センターを使うと、必ず解決しますか?
必ず解決するとは限りません。和解がまとまらず、審査会の判断にも納得できない場合は、裁判で解決を目指すことになります。
Q. 平日に時間が取れません。
あっせんは平日の日中に行われるのが一般的です。弁護士に依頼すれば、弁護士が代わりに出席できます。
Q. 紛争処理センターと裁判、どちらがよいですか?
争いの内容や、どこまでの金額を目指すかによって異なります。弁護士が見通しをふまえて、どちらが適しているかをご説明します。
まとめ
交通事故紛争処理センターは、中立の弁護士が無料で和解のあっせんを行う機関で、裁判よりも早く解決できることが多い手続きです。
争いの内容によっては、裁判のほうが適している場合もあります。どちらを選ぶかも含めて、お気軽にご相談ください。