監修:弁護士 佐藤 都(埼玉弁護士会所属/大宮ありあけ法律事務所)
通院を続けていたら、保険会社から「そろそろ症状固定ですね」「来月で治療費の支払いを終わりにします」と言われた。まだ痛みが残っているのに、このまま終わってしまってよいのだろうか。症状固定は、治療費の打ち切りや、後遺障害の申請、示談金の金額に関わる、とても大切な区切りです。この記事では、症状固定と言われたときに知っておきたいことと、症状固定の前にやるべきことを解説します。
こんな疑問はありませんか?
- 症状固定って、どういう意味?
- 保険会社に言われたら、従うしかない?
- まだ痛みがあるのに、治療をやめないといけない?
- 症状固定の前に、やっておくことは?
この記事でわかること
- 症状固定とは何か
- 症状固定と治療費の打ち切りの関係
- 保険会社に言われたときの対応
- 症状固定の前にやるべきこと
症状固定とは
症状固定とは、治療を続けても、それ以上大きな回復が期待できなくなった状態のことです。症状固定を境に、請求できるものが変わります。
| 症状固定まで | 治療費、通院交通費、休業損害、入通院慰謝料を請求できる |
|---|---|
| 症状固定のあと | 残った症状について、後遺障害の申請をし、認定されれば、後遺障害慰謝料と逸失利益を請求できる |
症状固定のあとの治療費は、原則として相手方に請求できません。また、入通院慰謝料は通院した期間をもとに計算するため、症状固定の時期は、受け取れる金額にも影響します。
→ 通院期間ごとの慰謝料は「交通事故の通院慰謝料はいくら?|通院1〜6か月の目安(弁護士基準)」
症状固定と治療費の打ち切り
症状固定かどうかは、本来、主治医が、症状や検査の結果をもとに判断するものです。ところが実際には、相手方の保険会社から「そろそろ症状固定ですね」と言われることがよくあります。
これは、保険会社が治療費の支払いを終わらせたい(打ち切りたい)という意味であることがほとんどです。保険会社が支払いをやめても、それだけで症状固定が決まるわけではありません。
POINT 保険会社から「症状固定」と言われても、すぐに治療をやめる必要はありません。まず主治医に、まだ治療が必要かどうかを相談しましょう。
→ 詳しくは「治療費の打ち切りを言われたら?通院を続けるための対処法」
保険会社に言われたときの対応
- 主治医に、症状がまだ良くなっている途中か、治療を続ける必要があるかを相談する
- 医師が治療が必要と判断していれば、そのことを保険会社に伝え、支払いの延長を求める
- 支払いが打ち切られても、健康保険を使って通院を続け、あとでその費用を請求することを検討する
- 自分だけで判断せず、弁護士に相談する
早すぎる時期に症状固定にしてしまうと、治療が十分に受けられないだけでなく、症状が続いていることを示す記録も少なくなり、後遺障害が認められにくくなることがあります。例えばむちうちでは、通院が6か月に満たないと、後遺障害(14級)が認められにくい傾向があるといわれています。
症状固定を言われた方のご相談をお受けしています
保険会社とのやりとりや、後遺障害の申請の準備を、弁護士がサポートします。お気軽にご相談ください。
症状固定の前にやるべきこと
- 痛みやしびれ、動かしにくさなど、残っている症状を、医師に具体的に伝える
- MRIや神経の検査など、後遺障害の申請に必要な検査を受けておく
- 骨折の手術で入れたプレートを抜く予定がある場合は、その時期も医師と相談する
- 仕事や家事で困っていることを、メモに残しておく
- 後遺障害診断書を書いてもらう前に、弁護士に内容を相談する
→ 申請の流れは「後遺障害の申請方法」
症状固定のあとの流れ
症状固定になったら、医師に後遺障害診断書を書いてもらい、後遺障害の申請をします。等級が決まったら、それをもとに、保険会社と示談金の交渉をします。後遺障害が認められなかった場合は、異議申立てをすることもできます。
よくある質問
Q. 症状固定のあとも通院できる?
通院することはできますが、その費用は、原則としてご自身の負担になります。健康保険を使って通院するのが一般的です。
Q. 医師に症状固定と言われた
主治医が症状固定と判断した場合は、後遺障害の申請に進みます。後遺障害診断書を書いてもらう前に、ご相談ください。
Q. 保険会社と話したくない
弁護士に依頼すれば、治療費の支払いの交渉も、そのあとの示談交渉も、弁護士が代わりに行います。
まとめ
保険会社から「症状固定」と言われるのは、治療費を打ち切りたいという意味のことがほとんどです。症状固定は、本来主治医が判断するもので、その時期は、慰謝料の金額や後遺障害の認定にも影響します。
症状固定と言われたら、治療をやめる前に、弁護士にご相談ください。