家族の作業着の洗濯や、工場の近くに住んでいたことによるアスベスト被害

監修:弁護士 和田 慈朗(埼玉弁護士会所属/大宮ありあけ法律事務所)

自分はアスベストを扱う仕事をしたことがないのに、中皮腫と診断された。家族の作業着を洗濯していたことや、近くに石綿を扱う工場があったことが、原因になっている場合があります。

「自分はアスベストを扱う仕事をしたことがないのに、なぜ」。中皮腫などと診断された方の中には、こうした疑問を持つ方もいます。家族の仕事や、住んでいた場所が関係していることもあるのです。

こんな疑問はありませんか?

  • アスベストの仕事をしたことがないのに、中皮腫になった
  • 家族の作業着を洗っていた
  • 昔、工場の近くに住んでいた
  • 労災の対象にならない場合は、補償はない?

この記事でわかること

  • 仕事以外でアスベストを吸い込むケース
  • 石綿健康被害救済制度とは
  • 申請の方法

仕事以外でアスベストを吸い込むケース

  • アスベストを扱う仕事をしていた家族の作業着を洗濯していた
  • 石綿を扱う工場の近くに住んでいた
  • アスベストが使われていた建物で長く過ごしていた

こうした場合は、仕事が原因ではないため、労災の対象にはなりません。

石綿健康被害救済制度とは

石綿健康被害救済制度は、労災の対象にならない方を対象に、アスベストによる健康被害を救済するための制度です。中皮腫、肺がん、著しい呼吸機能障害を伴う石綿肺、著しい呼吸機能障害を伴うびまん性胸膜肥厚が対象となる病気です。

POINT 認定されると、医療費や療養手当などが支給されます。亡くなった方のご遺族にも、一定の給付があります。

仕事以外でのアスベスト被害のご相談も受け付けています
どの制度を使えるか、状況を伺ったうえでご説明します。

申請の方法

申請は、独立行政法人環境再生保全機構や、保健所などで受け付けています。医師の診断書や、病気がわかる検査の資料などが必要です。

ほかの制度が使える場合もある

家族の作業着からアスベストを吸い込んだ場合などは、事情によって、会社などに損害賠償を請求できる可能性が検討されることもあります。詳しくは「会社に損害賠償を請求できる?」をご覧ください。

救済制度の給付の内容と金額

ご本人が療養中の場合

医療費自己負担分
病院の窓口で支払う自己負担分が支給されます
療養手当月額103,870円
2か月に1回、2か月分ずつ支給されます

亡くなった場合

葬祭料199,000円
認定を受けた方が亡くなったときに、葬祭を行う方へ
救済給付調整金280万円から、受け取った医療費と療養手当を引いた額
認定を受けた方が亡くなったときに、生計を同じくしていたご遺族へ
特別遺族弔慰金280万円
認定を受ける前に亡くなった方の、生計を同じくしていたご遺族へ
特別葬祭料199,000円
特別遺族弔慰金とあわせて、ご遺族へ

金額は、環境再生保全機構などが公表している額です(2026年時点)。最新の内容は、申請の窓口で確認できます。

よくある質問

Q. 救済制度の申請先は?

独立行政法人環境再生保全機構や、保健所などで受け付けています。

Q. 救済制度と労災は、どちらを申請すればいいですか?

仕事でアスベストを吸い込んだ可能性がある場合は、まず労災を検討します。仕事以外の場合は、救済制度を検討します。どちらにあたるか迷う場合は、ご相談ください。

Q. 会社に責任を問える?

事情によっては、会社に損害賠償を請求できる可能性が検討されることもあります。

まとめ

仕事以外でアスベストを吸い込んだ方は、石綿健康被害救済制度の給付を受けられる可能性があります。

ご自身が対象になるか、まずはご相談ください。

この記事の監修

弁護士 和田 慈朗(埼玉弁護士会所属/大宮ありあけ法律事務所)

社会保険労務士試験合格。官公庁での勤務を経て弁護士に。
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