アスベストが原因の病気一覧|中皮腫・肺がん・石綿肺など病名と使える補償

監修:弁護士 和田 慈朗(埼玉弁護士会所属/大宮ありあけ法律事務所)

病院で「中皮腫」「石綿肺」「びまん性胸膜肥厚」と聞きなれない病名を告げられ、アスベストとの関係を指摘された。あるいは、亡くなった家族の死亡診断書に書かれた病名を見て、昔の仕事との関係が気になった。アスベスト(石綿)が原因で起こる病気には、いくつかの種類があります。

どの病気かによって、受けられる補償の制度や、認定のされ方が変わります。病名を正しく知っておくことは、補償を受けるための第一歩です。

この記事では、アスベストが原因で起こる主な病気(病名)と、それぞれの特徴、病気ごとに使える補償の制度を、一覧で解説します。

こんな疑問はありませんか?

  • アスベストが原因の病気には、どんな病名がある?
  • 中皮腫と肺がんは、何が違う?
  • 石綿肺やびまん性胸膜肥厚とは?
  • どの病気なら、給付金や労災の対象になる?
  • 胸膜プラークがあると言われた

この記事でわかること

  • アスベストが原因で起こる主な病気(病名)
  • それぞれの病気の特徴と、発症までの期間
  • 病気ごとに使える補償の制度の一覧
  • 胸膜プラークの意味

アスベストが原因で起こる主な病気(病名)

中皮腫肺を包む胸膜や、お腹の腹膜などにできるがん。ほとんどがアスベストが原因とされる
肺がん肺にできるがん。喫煙など、アスベスト以外の原因でも起こる
石綿肺アスベストを長い期間、多く吸い込んだことで、肺が硬くなる(線維化する)病気。じん肺の一種
びまん性胸膜肥厚肺を包む胸膜が、広い範囲で厚く硬くなり、呼吸がしにくくなる病気
良性石綿胸水胸膜に炎症が起き、胸に水がたまる病気

いずれの病気も、アスベストを吸い込んでから、長い年月を経て発症することが多いのが特徴です。

それぞれの病気の特徴

中皮腫

アスベストを吸い込んでから、数十年たって発症することが多い病気です。胸の痛み、息切れ、胸に水がたまるなどの症状が出ることがあります。アスベストとの関係が強いため、職歴などが確認できれば、補償の対象と認められやすい病気です。詳しくは「中皮腫と診断された方へ」をご覧ください。

肺がん

アスベストによる肺がんは、喫煙などほかの原因による肺がんと区別がつきにくいため、アスベストにさらされた作業の期間や、胸膜プラークなどの医学的な所見から、アスベストが原因かどうかが判断されます。詳しくは「肺がんと診断された方へ」をご覧ください。

石綿肺

じん肺の一種で、アスベストを扱う仕事を長い期間続けた方に多い病気です。せきや息切れなどの症状が、少しずつ進むことがあります。じん肺の「管理区分」という認定を受けることが、補償の手続きで大切になります。

びまん性胸膜肥厚

胸膜が厚くなることで、肺がふくらみにくくなり、呼吸の機能が低下する病気です。補償の対象になるには、呼吸の機能が著しく低下していることなどが求められます。

良性石綿胸水

胸膜に炎症が起きて、胸に水がたまる病気です。ほかの病気より、アスベストを吸い込んでから比較的早い時期に起こることもあります。

アスベストによる病気のご相談を受け付けています
診断された病名と職歴を伺い、受けられる補償をご説明します。ご家族からのご相談も歓迎です。

病気ごとに使える補償の制度

病名労災建設
給付金
救済
制度
中皮腫○○○
肺がん○○○
石綿肺○○※1△※2
びまん性
胸膜肥厚
○△※2△※2
良性
石綿胸水
○○×

○=対象 △=条件つきで対象 ×=対象外
労災=労災保険
建設給付金=建設アスベスト給付金
救済制度=石綿健康被害救済制度
※1 じん肺管理区分(管理2〜4)によって金額が変わります。※2 著しい呼吸機能障害を伴う場合に対象です。

POINT どの制度を使えるかは、病名だけでなく、どこで、どのようにアスベストを吸い込んだか(仕事か、仕事以外か)によっても変わります。詳しくは「アスベスト被害で受けられる補償」をご覧ください。

仕事でアスベストを吸い込んだ場合の労災については「アスベストの労災」、建設現場で働いていた方の給付金については「建設アスベスト給付金とは」で解説しています。

「胸膜プラーク」と言われたら

胸膜プラークは、アスベストを吸い込んだ人の胸膜にできる、板のような変化です。胸膜プラークそのものは、通常は症状がなく、それだけで補償の対象になる病気ではありません。

ただ、胸膜プラークがあることは、過去にアスベストを吸い込んだことを示す大切な所見です。肺がんがアスベストによるものかどうかを判断するときなどに、重要な手がかりになります。

病名がわかったら

  • 主治医に、アスベストとの関係について意見を聞く
  • 診断書や、画像・検査の記録を確保する
  • これまでの職歴を、時期ごとに書き出す
  • 使える補償の制度を確認し、申請の準備を始める

よくある質問

Q. アスベストの病気は、何年くらいたってから発症しますか?

病気によって異なりますが、中皮腫や肺がんは、アスベストを吸い込んでから数十年たって発症することが多いとされています。そのため、退職してからかなり時間がたってから診断されることも珍しくありません。

Q. 死亡診断書に「肺がん」としか書かれていません。アスベストとの関係を調べられますか?

亡くなった方の職歴や、病院に残っている画像・検査の記録などから、アスベストとの関係を確認できることがあります。ご遺族からのご相談もお受けしています。

Q. アスベストを吸ったことがあるか、検査でわかりますか?

胸のレントゲンやCTで、胸膜プラークなどの所見が見つかることがあります。心配な場合は、医療機関に相談してみましょう。

まとめ

アスベストが原因で起こる主な病気には、中皮腫、肺がん、石綿肺、びまん性胸膜肥厚、良性石綿胸水があります。病名によって、使える補償の制度や認定のされ方が変わります。

病名がわかったら、診断書や医療記録を確保し、職歴を整理したうえで、早めにご相談ください。

この記事の監修

弁護士 和田 慈朗(埼玉弁護士会所属/大宮ありあけ法律事務所)

社会保険労務士試験合格。官公庁での勤務を経て弁護士に。
弁護士紹介を見る →