交通事故の治療中にやるべきこと|通院で注意したいポイント

監修:弁護士 佐藤 都(埼玉弁護士会所属/大宮ありあけ法律事務所)

交通事故でけがをして、仕事や家事の合間に通院を続けている。治療に専念したい一方で、「この通い方で大丈夫だろうか」「保険会社にどう対応すればいいのか」と、わからないことも多いと思います。

治療中の過ごし方は、けがの回復だけでなく、後から受け取る慰謝料や、後遺障害の認定にも影響します。大切なのは、医師の指示に従って、必要な治療を継続して受けることです。

この記事では、通院の頻度や整骨院への通い方、症状の伝え方、治療費以外に請求できるお金、保管しておきたい書類などを、治療中によくある疑問に沿って解説します。

こんな疑問はありませんか?

  • 通院は、どのくらいの頻度で続ければいい?
  • 整骨院や接骨院に通ってもいい?
  • 仕事が忙しくて、なかなか通院できない
  • 通院の交通費や、仕事を休んだ分のお金は請求できる?
  • 何を保管しておけばいい?

この記事でわかること

  • 治療中に大切にしたい、通院のしかた
  • 整骨院・接骨院に通うとき
  • 通院交通費や休業損害など、治療費以外に請求できるお金
  • 保管しておきたい書類と、保険会社とのやりとりのポイント

通院は、医師の指示どおりに継続する

治療中にいちばん大切なのは、医師の指示に従って、継続して通院することです。

痛みがあるのに、仕事が忙しいなどの理由で通院の間隔が大きく空いてしまうと、保険会社から「症状は軽い」「もう治っている」と判断されることがあります。その結果、治療費の支払いを早めに打ち切られたり、慰謝料が少なくなったりすることがあります。

POINT 通院の頻度に、決まった正解はありません。症状や治療の内容によって必要な頻度は変わるため、主治医とよく相談して決めましょう。

平日に通院するのが難しい場合は、土曜日や夕方に診療している病院を探す、勤務先に事情を説明して通院の時間を確保するなど、通院を続けられる工夫をしましょう。

整骨院・接骨院に通うとき

むちうちなどでは、整骨院や接骨院で施術を受ける方も多くいます。施術で痛みが和らぐこともありますが、交通事故の損害賠償では、整骨院の施術は医師の治療とは扱いが異なる点に注意が必要です。

  • 整骨院に通うことを主治医に伝え、了承を得ておく
  • 整形外科への通院も、並行して続ける
  • 整骨院に通い始めることを、保険会社にも伝えておく

後遺障害の申請に必要な診断書を書けるのは医師だけです。整骨院だけに通っていると、症状が残っても、後遺障害の認定を受けにくくなることがあります。

通院中のご相談も受け付けています
通院のしかたや保険会社への対応について、状況を伺ってアドバイスします。弁護士費用特約もご利用いただけます。

症状は、毎回具体的に伝える

診察のときは、どこが、どのように、どんなときに痛むのかを、具体的に伝えましょう。

  • 痛む場所:首の右側、腰の左側など
  • 症状の種類:ズキズキ痛む、しびれる、重だるいなど
  • 症状が出る場面:首を回したとき、長く座っているとき、雨の日など
  • 日常生活や仕事への影響:パソコン作業がつらい、子どもを抱っこできないなど

医師が書くカルテは、後遺障害の認定や、示談交渉のときに大切な資料になります。症状が良くなったり悪くなったりする場合も、そのまま伝えてください。「我慢できるから」と症状を伝えずにいると、後から症状を証明するのが難しくなることがあります。

治療費以外にも請求できるお金

通院のための交通費

病院に通うための電車やバスの運賃、自家用車で通った場合のガソリン代などを請求できます。けがの状態や、病院までの交通の便などから、タクシーを使う必要があった場合は、タクシー代が認められることもあります。必要性が認められないと、電車やバスの運賃の範囲でしか認められないことがあるため、タクシーを使う場合は、事前に保険会社に伝えておくと安心です。領収書は必ず保管しておきましょう。

仕事を休んだ損害(休業損害)

けがのために仕事を休んだり、遅刻・早退したりした場合は、その分の収入の減少を請求できます。会社員の方は、勤務先に「休業損害証明書」を書いてもらいます。

家事ができなかったことによる損害

専業主婦(主夫)の方や、パートをしながら家事をしている方も、けがで家事ができなかった分を、休業損害として請求できる場合があります。

保管しておきたい書類

  • 病院や薬局の領収書、診療明細書
  • 通院した日付と、使った交通手段のメモ(タクシーを使った場合は領収書)
  • 仕事を休んだ日、遅刻・早退した日の記録
  • 保険会社とのやりとりの記録(いつ、誰と、何を話したか)
  • 事故の後に買った、治療に必要な物の領収書(コルセットなど)

こうした記録は、示談交渉のときに、請求できる金額を裏付ける資料になります。

保険会社とのやりとりで気をつけたいこと

治療の途中で、保険会社から「そろそろ治療を終えてほしい」と言われることがあります。治療を続けるかどうかは、本来、医師が判断することです。その場で同意せず、まずは主治医に相談しましょう。詳しくは「治療費の打ち切りを言われたら」で解説しています。

保険会社の担当者とのやりとりが負担になっている場合は、弁護士に窓口を任せることもできます。

よくある質問

Q. 交通事故のけがでも、健康保険は使えますか?

使えます。相手方の保険会社が治療費を支払っていない場合などは、健康保険を使うことで、窓口での負担を抑えられます。健康保険を使うときは、加入している健康保険に「第三者行為による傷病届」を提出します。

Q. 休まず働いた場合の補償

休まずに働いた場合は、休業損害は請求できません。ただ、通院のために遅刻や早退をした場合は、その分を請求できることがあります。無理をせず、必要な治療を受けることを優先しましょう。

Q. 通院をやめてもいい?

通院をやめる前に、主治医に相談しましょう。自己判断で通院をやめた後に症状がぶり返すと、事故との関係を説明しにくくなることがあります。

Q. 相談は治療後でもいい?

治療が終わってからでもご相談いただけますが、治療中にご相談いただくと、通院のしかたや書類の集め方など、早い段階からアドバイスできます。

まとめ

治療中は、医師の指示に従って継続して通院し、症状を毎回具体的に伝えることが大切です。整骨院に通う場合も、整形外科への通院は続けましょう。

通院交通費や休業損害など、治療費以外にも請求できるお金があります。領収書や記録を保管しながら、不安なことがあれば早めにご相談ください。

この記事の監修

弁護士 佐藤 都(埼玉弁護士会所属/大宮ありあけ法律事務所)

上智大学法学部、北海道大学法科大学院卒業。
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