交通事故の高次脳機能障害|症状と後遺障害の認定のポイント

監修:弁護士 佐藤 都(埼玉弁護士会所属/大宮ありあけ法律事務所)

事故で頭を強く打ったあと、けがは治ったはずなのに、物忘れがひどくなった、怒りっぽくなった、仕事の段取りができなくなった。ご家族が「以前と人が変わったようだ」と感じたら、高次脳機能障害の可能性があります。高次脳機能障害は、外から見てわかりにくく、見逃されやすい後遺障害です。この記事では、高次脳機能障害の症状と、後遺障害の認定を受けるためのポイントを解説します。

こんな疑問はありませんか?

  • 事故のあと、家族の様子が変わった
  • 高次脳機能障害は、何級になる?
  • 認定を受けるには、何が必要?
  • 本人が手続きをするのが難しい

この記事でわかること

  • 高次脳機能障害とは
  • 見逃さないためのポイント
  • 認定のポイントと等級
  • 請求できる主な損害

高次脳機能障害とは

高次脳機能障害は、事故で脳が傷ついたことにより、記憶や注意力、物事を計画して進める力、感情のコントロールなどに障害が残るものです。主に、次のような症状があらわれます。

  • 新しいことを覚えられない、同じことを何度も聞く(記憶障害)
  • 集中できない、ミスが増える(注意障害)
  • 段取りを立てて物事を進められない(遂行機能障害)
  • 怒りっぽくなる、感情を抑えられない、意欲がなくなる(社会的行動障害)

手足の動きなどには問題がなく、会話もできるため、周りからは障害があるとわかりにくいのが特徴です。

見逃さないためのポイント

高次脳機能障害は、本人が自分の変化に気づきにくく、ご家族や職場の人が先に気づくことが多くあります。頭を強く打った事故のあとで、次のようなことがあれば、主治医に伝えましょう。

  • 事故の前と比べて、性格や行動が変わった
  • 仕事や家事で、以前はできていたことができない
  • 約束や予定を忘れることが増えた

POINT 事故の直後に意識を失ったり、もうろうとしていたりした場合は、特に注意が必要です。気になる変化があれば、早めに主治医と弁護士にご相談ください。

認定のポイント

高次脳機能障害の認定では、次のような点が重視されます。

  • 事故の直後に、頭のけが(脳挫傷など)の診断を受けているか
  • 事故の直後に、意識障害があったか(どの程度で、どのくらい続いたか)
  • CTやMRIで、脳の損傷が確認できるか
  • 神経心理学的検査で、記憶力や注意力などの低下が示されているか
  • 日常生活や仕事で、どのような支障が出ているか

日常生活での支障は、ご家族が書く「日常生活状況報告」という書類で伝えます。どのような場面で、どのように困っているかを、具体的に書くことが大切です。

高次脳機能障害のご相談をお受けしています
ご家族からのご相談もお受けしています。認定に必要な資料の集め方から、弁護士がサポートします。

等級と慰謝料の目安

1級1号常に介護が必要
慰謝料(弁護士基準):2,800万円
2級1号ときどき介護が必要
慰謝料(弁護士基準):2,370万円
3級3号介護は不要だが、仕事をすることができない
慰謝料(弁護士基準):1,990万円
5級2号とても簡単な仕事しかできない
慰謝料(弁護士基準):1,400万円
7級4号簡単な仕事しかできない
慰謝料(弁護士基準):1,000万円
9級10号仕事はできるが、できる仕事の範囲が限られる
慰謝料(弁護士基準):690万円

請求できる主な損害

  • 後遺障害慰謝料
  • 逸失利益(将来の収入の減少分)
  • 将来の介護費用(ご家族が介護する場合も含む)
  • 自宅の改造費や、介護用品の費用
  • 成年後見の申立ての費用や、後見人の報酬

高次脳機能障害が重い場合、本人が示談の内容を判断するのが難しく、成年後見人を選ぶ必要が出てくることもあります。

よくある質問

Q. 時間がたってから気づいた

事故から時間がたっていても、認定を求めることはできます。事故の直後のカルテや画像が大切になるため、早めにご相談ください。

Q. 認定されなかった

異議申立てで、新たな資料を出して再審査を求めることができます。神経心理学的検査や、日常生活の様子の資料を補うことが考えられます。

Q. 家族が代わりにできる?

本人の判断する力が十分でない場合は、成年後見人を選んで手続きを進めることがあります。ご家族からのご相談もお受けしています。

まとめ

高次脳機能障害は、外から見てわかりにくく、見逃されやすい後遺障害です。事故直後の診断や意識障害の記録、画像、神経心理学的検査、ご家族による日常生活の様子の報告が、認定の大切な資料になります。

頭を打った事故のあと、ご家族の様子に変化を感じたら、すぐに弁護士にご相談ください。

この記事の監修

弁護士 佐藤 都(埼玉弁護士会所属/大宮ありあけ法律事務所)

上智大学法学部、北海道大学法科大学院卒業。
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