監修:弁護士 佐藤 都(埼玉弁護士会所属/大宮ありあけ法律事務所)
子どもが私立の中学校に通っている。塾や習い事の費用もかかる。算定表で決めた養育費だけでは、とても足りない。私立学校の学費や塾の費用は、養育費に上乗せして請求できるのでしょうか。この記事では、算定表に含まれている教育費の範囲と、上乗せが認められる場合、その計算のしかたを解説します。
こんな疑問はありませんか?
- 算定表の養育費には、学費は含まれている?
- 私立の学費は、相手にも負担してもらえる?
- 塾や習い事の費用はどうなる?
- 相手が私立進学に反対していたら?
この記事でわかること
- 算定表に含まれている教育費の範囲
- 私立学校の学費が上乗せされる条件
- 上乗せ分の計算のしかた
- 塾・習い事・大学の学費の扱い
算定表に含まれている教育費
家庭裁判所で使われる養育費の算定表には、公立の小学校・中学校・高校に通う場合の標準的な教育費が、あらかじめ含まれています。そのため、公立に通っている場合は、授業料などを別に請求することは原則としてできません。
一方、私立学校の学費は、算定表の金額を超える部分があります。この超える部分について、相手にも負担を求められるかが問題になります。
私立の学費が上乗せされる条件
家庭裁判所の実務では、次のような場合に、私立学校の学費を考慮して養育費を上乗せすることが認められています。
- 相手が私立への進学に同意していた、または、同意していたとみられる事情がある(私立に通い始めたときに同居していた、受験を認めていたなど)
- 双方の収入や学歴、家庭環境からみて、私立への進学が不相当とはいえない
相手が進学に反対していて、収入からみても私立が無理のある選択だった場合は、上乗せが認められないこともあります。
POINT 私立への進学を決めるときは、相手の同意をメールやLINEなどの形で残しておくと、あとで養育費を請求するときの大切な証拠になります。
養育費の金額のご相談をお受けしています
お子さんの進学や教育費の事情を伺い、算定表に上乗せして請求できる金額の見通しをお伝えします。
上乗せ分の計算のしかた
上乗せが認められる場合、私立の学費の全額が加算されるわけではありません。実際の学費から、算定表にすでに含まれている公立の教育費相当分を引いた残りを、双方の収入の割合で分けるのが一般的です。
例えば、超える部分が年間60万円で、収入の割合が相手7:自分3なら、相手の負担は年間42万円(月あたり3万5000円)が目安になります。
塾・習い事・大学の学費
| 塾・習い事 | 原則として算定表に含まれず、相手の同意がなければ上乗せは認められにくい。進学に必要な受験塾などは、事情によって考慮されることもある |
|---|---|
| 大学の学費 | 子どもが成人した後の養育費は、合意や、双方の学歴・収入などの事情によって判断される。入学金や授業料の分担は、別途の合意が重要 |
| 医療費 | 病気やけがで特別に多額の医療費がかかる場合は、別に考慮されることがある |
合意するときのポイント
私立の学費については、「学費が確定したら、超える部分を収入の割合で負担する」「大学進学時は改めて協議する」といった形で、調停調書や公正証書に書いておくと、あとで争いになりにくくなります。
よくある質問
Q. すでに決めた養育費に、あとから学費を上乗せできる?
私立への進学など、決めたときに予想していなかった事情があれば、増額の調停を申し立てて上乗せを求めることができます。
Q. 相手が「私立は反対した」と言っている
当時のやりとりや、進学を認めていたとみられる事情(学費を払っていた、学校行事に来ていたなど)を示すことが大切です。
Q. 子どもが浪人した場合の費用は?
大学進学にかかる費用と同じく、合意や事情によります。あらかじめ取り決めておくことをおすすめします。
まとめ
養育費の算定表には公立学校の教育費が含まれており、私立学校の学費は、相手の同意や双方の事情によって上乗せが認められます。認められる場合は、算定表に含まれる分を超える部分を、収入の割合で分けるのが一般的です。
進学の相談をするときは、相手の同意を記録に残し、養育費の取り決めに学費のことも書いておきましょう。