監修:弁護士 佐藤 都(埼玉弁護士会所属/大宮ありあけ法律事務所)
事故で車が使えなくなり、修理の間はレンタカーを借りている。ところが、保険会社から「代車は今週いっぱいで終了します」と言われてしまった。修理はまだ終わっていないのに、どうすればいいのか。代車費用をめぐるトラブルは、物損事故でとてもよくあるご相談です。
代車費用は、事故で車が使えなくなったときに、代わりの車が必要だった場合に認められる損害です。ただ、認められる期間や車のグレードには一定の考え方があり、保険会社との間で意見が分かれやすい部分でもあります。
この記事では、代車費用が認められる条件、期間とグレードの考え方、保険会社と揉めないための対策を解説します。
こんな疑問はありませんか?
- 代車費用は、どんな場合でも払ってもらえる?
- 代車は、何日まで使える?
- 修理が長引いた分の代車費用は?
- 同じクラスの車を借りてもいい?
- 代車を借りなかったら、その分のお金はもらえる?
この記事でわかること
- 認められる条件
- 代車を使える期間の考え方
- 代車のグレードの考え方
- 揉めないための対策
認められる条件
代車費用が損害として認められるのは、次の2つを満たす場合です。
- 事故で車を使えなくなり、代わりの車が必要だったこと(代車の必要性)
- 実際に代わりの車を借りて、費用がかかったこと
たとえば、通勤や仕事で毎日車を使っている、近くに公共交通機関がなく生活に車が欠かせない、といった事情があれば、代車の必要性は認められやすくなります。
POINT 家にもう1台車があって代わりに使える場合や、公共交通機関で十分に代わりがきく場合などは、代車の必要性が争われることがあります。
代車を使える期間の考え方
代車費用が認められるのは、修理や買い替えのために「通常必要な期間」です。
- 修理する場合:修理に通常かかる期間(部品の取り寄せなどを含む)
- 全損で買い替える場合:新しい車を探し、購入し、納車されるまでに通常かかる期間
一般的には、修理なら1〜2週間程度、買い替えなら1か月程度が目安とされることが多いといわれます。ただ、これはあくまで目安であり、車種や部品の状況などによって変わります。
期間が延びた場合
部品の入荷が遅れた、修理工場の混雑で作業が始められなかったなど、やむを得ない事情で期間が延びた場合は、延びた分の代車費用も認められることがあります。一方、保険会社との交渉が長引いたことだけを理由に、代車の期間が延びた場合は、その分が認められないこともあります。
代車費用や物損のご相談も受け付けています
保険会社との交渉が行き詰まったときは、お気軽にご相談ください。弁護士費用特約もご利用いただけます。
代車のグレードの考え方
代車は、事故に遭った車と同じくらいのグレードの車が原則です。ただ、高級車や外国車の場合は、同じ車種でなくても、通常の用途を満たせる国産の車で足りるとされることもあります。
事故に遭った車より明らかに上のクラスの車を借りた場合は、差額が認められないことがあります。
代車を借りなかった場合
代車を借りずに、公共交通機関を使ったり、家族の車を借りたりして過ごした場合は、代車費用そのものは請求できません。ただ、そのためにかかった電車代やタクシー代などを、交通費として請求できる場合があります。
揉めないための対策
- 代車を借りる前に、期間やグレードについて保険会社と確認しておく
- 修理工場から、修理にかかる期間の見込みを聞いておく(できれば書面やメールで)
- 部品の取り寄せなど、期間が延びた理由を記録しておく
- 全損の場合は、買い替えの検討を早めに始める
保険会社から代車の終了を告げられても、修理や買い替えの状況によっては、引き続き請求できることがあります。納得できないときは、ご相談ください。
よくある質問
Q. ご自身の車両保険の「代車特約」は使えますか?
ご自身の保険に代車費用の特約が付いている場合は、そちらを使える場合があります。相手方への請求とあわせて、保険会社に確認してみましょう。
Q. 相手方が手配した代車はいつまで使える?
相手方の保険会社が手配した代車も、修理や買い替えに必要な期間が目安です。終了を告げられたら、修理の進み具合を確認したうえで、延長が必要な理由を伝えましょう。
Q. 代車費用だけの請求でも、弁護士に頼めますか?
弁護士費用特約があれば、代車費用などの物損だけの交渉でも、費用の負担を気にせずご依頼いただけます。
まとめ
代車費用は、代車の必要性があり、修理や買い替えに通常必要な期間・同程度のグレードの範囲で認められます。
代車を借りる前に保険会社と確認し、期間が延びた理由を記録しておくことが、トラブルを防ぐポイントです。交渉が行き詰まったら、お気軽にご相談ください。