自営業・フリーランスの休業損害|確定申告の所得が少ないときの考え方

監修:弁護士 佐藤 都(埼玉弁護士会所属/大宮ありあけ法律事務所)

事故のけがで、しばらく仕事ができなかった。会社員と違って、休んでいる間の収入の補償は、どうやって計算されるのだろう。保険会社から提示された休業損害が、思っていたよりずっと少ない。自営業やフリーランスの方の休業損害は、会社員と計算のしかたが違い、確定申告の内容によって金額が大きく変わります。この記事では、自営業・フリーランスの方の休業損害の考え方と、確定申告の所得が少ないときの注意点を解説します。

こんな疑問はありませんか?

  • 自営業の休業損害は、どうやって計算する?
  • 確定申告の所得が少なく、提示額が低い
  • 休んでいる間も払った家賃なども請求できる?
  • 実際の収入は申告より多いのだけれど…

この記事でわかること

  • 自営業・フリーランスの休業損害の計算のしかた
  • 基礎収入に加えられる固定費
  • 所得が少ない・赤字のときの考え方
  • 準備しておきたい資料

自営業・フリーランスの休業損害の計算のしかた

自営業やフリーランスの方の休業損害は、原則として、次の式で計算します。

計算式基礎収入(1日あたり)× 休業した日数
基礎収入事故の前年の確定申告の所得をもとに、1日あたりの金額を出す

会社員のように、会社が休業損害証明書を書いてくれるわけではないため、確定申告書などの資料で、事故の前の収入と、事故によって休まざるを得なかったことを示す必要があります。

基礎収入に加えられる固定費

休業している間も、事業を続けるために払わなければならない費用(固定費)は、所得に加えて基礎収入として計算できることがあります。

  • 事務所や店舗の家賃
  • 従業員の給料
  • 機械や車のリース料、保険料
  • 借入金の利息など

また、青色申告特別控除の金額は、実際に経費として出ていったお金ではないため、所得に足し戻して計算するのが一般的です。

POINT 保険会社の提示では、固定費や青色申告特別控除が計算に入っていないことがよくあります。提示額が低いと感じたら、弁護士にご相談ください。

所得が少ない・赤字のときの考え方

申告している所得が実際より少ない場合

休業損害は、原則として、確定申告の所得をもとに計算します。実際の収入が申告より多かったと主張する場合は、帳簿や預金通帳、請求書などで、実際の収入を具体的に示す必要があります。認めてもらうのは簡単ではないため、資料をそろえることが大切です。

開業したばかり・赤字だった場合

開業して間もない場合や、前年の所得が少ない・赤字だった場合でも、事故の前に順調に収入が増えていたことなどを示せれば、売上の推移や、同じ年代の平均賃金などを参考に、休業損害が認められることがあります。

自営業・フリーランスの方のご相談をお受けしています
確定申告書や帳簿をもとに、休業損害がいくらになりそうか、見通しをお伝えします。お気軽にご相談ください。

休業日数の考え方

自営業やフリーランスの方は、休業した日数がわかりにくく、保険会社から「通院した日だけ」と言われることがあります。けがで仕事ができなかったことを示すため、次のような記録を残しておきましょう。

  • 医師から仕事を控えるように言われたこと(診断書やカルテ)
  • 断った仕事や、キャンセルになった取引のメールや記録
  • 事故の前後の売上がわかる帳簿や、請求書

けがで自分が働けない間、代わりの人を雇って仕事を続けた場合は、その人に払った費用が損害として認められることもあります。

準備しておきたい資料

  • 事故の前年(できれば前々年も)の確定申告書の控え
  • 青色申告決算書または収支内訳書
  • 帳簿、請求書、領収書、預金通帳
  • 固定費(家賃・給料・リース料など)の支払いがわかる資料
  • 仕事を休んだことがわかる記録

よくある質問

Q. 開業1年目で申告がない

前年の申告がなくても、開業後の売上や、事業の見通しを示す資料をもとに、休業損害が認められることがあります。

Q. 自賠責保険の基準だといくら?

自賠責保険の基準では、収入の資料が乏しい場合、1日6,100円で計算されることがあります。実際の収入が多い場合は、資料を出すことで増える可能性があります。

Q. 家族に手伝ってもらった

家族に手伝ってもらい、その分の費用を実際に支払った場合などは、代わりの人を雇った費用として認められることがあります。

まとめ

自営業・フリーランスの方の休業損害は、確定申告の所得をもとに計算しますが、固定費や青色申告特別控除を足し戻せることがあり、保険会社の提示より増える余地があります。所得が少ない・赤字の場合でも、資料しだいで認められることがあります。

保険会社の提示額に納得できないときは、確定申告書を持って、弁護士にご相談ください。

この記事の監修

弁護士 佐藤 都(埼玉弁護士会所属/大宮ありあけ法律事務所)

上智大学法学部、北海道大学法科大学院卒業。
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