監修:弁護士 齊藤 翔平(埼玉弁護士会所属/大宮ありあけ法律事務所)
親の葬儀が終わって少したったころ、喪主を務めた兄から「葬儀費用の半分を払ってほしい」と言われた。葬儀の内容は、ほとんど相談されずに決められていた。払わないといけないのだろうか。葬儀費用を誰が負担するかは、法律にはっきりとした決まりがなく、相続人の間でもめやすい問題です。この記事では、葬儀費用を払うように言われたときに知っておきたい考え方と、確認したいポイントを解説します。
こんな疑問はありませんか?
- 葬儀費用は、相続人で分けて払わないといけない?
- 喪主でなくても、負担しないといけない?
- 香典は、どう扱われる?
- 遺産から葬儀費用を払うことはできる?
この記事でわかること
- 葬儀費用は誰が負担するのかの考え方
- 香典の扱い
- 払うように言われたときに確認したいこと
- 話し合いがまとまらないときの進め方
葬儀費用は誰が負担するのか
葬儀費用を誰が負担するかは、法律で決められていません。そのため、まずは相続人の間で話し合って決めるのが基本です。相続人全員が合意すれば、遺産から支払ったり、相続人で分けて負担したりすることもできます。
話し合いで決まらず裁判になった場合は、葬儀を行った人(喪主など、葬儀の内容を決めて契約した人)が負担すべきと判断されることが多くあります。そのため、喪主でなく、葬儀の内容の相談も受けていなかった場合は、必ずしも費用を分けて負担しなければならないわけではありません。
POINT 「相続人だから当然に半分払う」とは限りません。支払う前に、弁護士にご相談ください。
香典の扱い
香典は、一般的に、葬儀を行った喪主への贈り物と考えられていて、葬儀費用にあてるのが通常です。そのため、葬儀費用を分けて負担する話をするときは、香典でいくらまかなえたのかも、あわせて確認する必要があります。
香典は遺産ではないため、遺産分割で分ける対象にもなりません。
葬儀費用をめぐるご相談をお受けしています
払うべきかどうか、どのくらい負担するのが妥当かを、弁護士が一緒に整理します。お気軽にご相談ください。
払うように言われたときに確認したいこと
- 葬儀の内容を決めたのは誰か、事前に相談があったか
- 葬儀費用の見積書や領収書など、金額の内訳
- 香典の金額と、葬儀費用にあてた金額
- 遺産から葬儀費用を払うことについて、相続人の間で合意があるか
- 葬儀の規模や金額が、一般的な範囲か
四十九日などの法要や、お墓・仏壇の費用は、葬儀費用とは別に考えます。これらは、お墓などを引き継ぐ人(祭祀を承継する人)が負担するのが一般的です。
遺産から葬儀費用を払う場合
相続人全員が合意すれば、葬儀費用を遺産から支払い、その残りを分けることができます。亡くなった方の預金は、遺産分割の前でも、一定の金額までは相続人が単独で払い戻しを受けられる制度があり(1つの金融機関につき150万円までなど)、葬儀費用にあてることもできます。
→ 預金の引き出しについては「相続での預金の使い込み|調べ方と返還請求」
話し合いがまとまらないとき
葬儀費用の負担は、遺産分割の話し合いや調停の中で、あわせて話し合うことがよくあります。相手と直接話すと感情的になりやすいため、弁護士を通して、内訳の確認や負担の割合の交渉を進めることもできます。
弁護士費用
葬儀費用の問題は、遺産分割とあわせて解決するのか、葬儀費用だけの交渉なのかによって、必要な作業が変わります。そのため、弁護士費用は、ご事情を伺ったうえで、別途お見積りをお出しします。ご依頼の前に、費用の見通しを必ずご説明します。
→ 相続の費用の目安は「相続の弁護士費用」
よくある質問
Q. 喪主でなくても払わないといけない?
相続人の間で負担すると合意していなければ、喪主でない人が当然に負担しなければならないとは限りません。事情によって変わるため、ご相談ください。
Q. 香典はどうなる?
香典は喪主への贈り物と考えられ、葬儀費用にあてるのが一般的です。遺産分割の対象にはなりません。
Q. 葬儀費用の目安は?
葬儀の内容や地域によって大きく変わります。見積書や領収書で、内訳を確認しましょう。
まとめ
葬儀費用を誰が負担するかは、法律で決まっておらず、まずは相続人の間の話し合いで決めるのが基本です。話し合いで決まらない場合は、葬儀を行った喪主が負担すべきと判断されることが多く、香典の金額もあわせて考える必要があります。
葬儀費用を払うように言われたら、支払う前に、内訳を確認して弁護士にご相談ください。