遺産分割調停の相手方|対応と注意点

監修:弁護士 齊藤 翔平(埼玉弁護士会所属/大宮ありあけ法律事務所)

家庭裁判所から、「遺産分割調停事件」と書かれた封筒が届いた。兄が、父の遺産について調停を申し立てたらしい。中には、申立書の写しや、答えを書いて返す書類が入っている。何をどうすればよいのか。遺産分割調停を申し立てられた側(相手方)には、裁判所から書類が届き、期日までに準備することがあります。この記事では、届いた書類の意味と、やるべきこと、やってはいけないことを解説します。

こんな疑問はありませんか?

  • 裁判所から書類が届いたら、まず何をすればいい?
  • 調停に行かないとどうなる?
  • 自分の言い分は、どうやって伝える?
  • 弁護士に頼んだほうがいい?

この記事でわかること

  • 届く書類の内容(申立書の写し・期日の通知・照会書)
  • 期日までにすること
  • 欠席した場合の不利益
  • 調停での主張のしかたと、弁護士に依頼する目安

届く書類

申立書の写し申立人が、誰を相手に、どの遺産について調停を求めているかが書かれている。遺産目録も添付されている
期日の通知(呼出状)第1回の調停の日時と、裁判所の場所
照会書(回答書)調停に出席できるか、申立ての内容についての意見、希望する分け方などを書いて、期限までに裁判所に返送する書類
進行に関する照会書話し合いの状況や、ほかの相続人との関係などを尋ねる書類(裁判所によって形式が異なる)

照会書には提出の期限があります。期限内に返送し、出席できない日があれば、その旨を書いておきます。

期日までにすること

  • 申立書と遺産目録を確認し、知らない遺産や、抜けている遺産がないかをチェックする
  • 自分が知っている遺産の資料(通帳の写し、不動産の資料など)を集める
  • 申立人の主張(生前贈与、介護など)に対する自分の考えを整理する
  • 希望する分け方(実家は誰が取得するか、売却するかなど)を考えておく
  • 照会書を期限までに返送する

POINT 申し立てられたからといって、不利な立場になるわけではありません。調停は、申立人と相手方が対等な立場で話し合う手続きです。ただ、自分の主張には裏付けの資料が求められるため、準備は早めに始めましょう。

遺産分割調停を申し立てられた方のご相談をお受けしています
届いた書類を拝見し、期日までの準備と、調停での主張の組み立てをサポートします。

欠席した場合

調停は話し合いの手続きなので、欠席しても罰則はありません。ただし、欠席を続けると、次のような不利益があります。

  • 自分の言い分を伝える機会がないまま、調停が不成立になり、審判に移る
  • 審判では、裁判官が出された資料と主張をもとに分け方を決めるため、欠席していた側の事情が考慮されにくい
  • 相続人の一部が欠席していても、裁判所が「調停に代わる審判」を出して、分け方を決めることがある

遠方に住んでいる、仕事で出席できないという場合は、電話会議やウェブ会議での参加や、弁護士による代理出席ができます。欠席する前に、裁判所や弁護士に相談しましょう。

調停での主張のしかた

調停では、調停委員が申立人と相手方を交互に呼んで、それぞれの言い分を聞きます。相手と同じ部屋で顔を合わせることは、原則としてありません。

自分の主張は、口頭だけでなく、書面(主張書面)にまとめて、資料と一緒に提出すると、調停委員に正確に伝わります。特に、申立人の主張に反論する場合(生前贈与はなかった、介護は自分もしていた、など)は、資料を示すことが大切です。

弁護士に依頼する目安

  • 申立人に弁護士がついている
  • 生前贈与や介護など、特別受益・寄与分の争いがある
  • 遺産に不動産や会社の株式があり、評価や分け方が複雑
  • 相続人どうしの関係が悪く、直接のやりとりを避けたい
  • 仕事などで、期日に出席するのが難しい

相手に弁護士がついている場合、主張の組み立てや資料の出し方で差が出ることがあります。早めにご相談ください。

よくある質問

Q. 申立書に書かれている遺産が、実際と違う

照会書や主張書面で、正しい内容と資料を示します。遺産の範囲は、調停の早い段階で確定するため、最初に伝えることが大切です。

Q. 調停を申し立てられたことに納得できない

話し合いがまとまらないときに調停を使うのは、通常の進め方です。申し立てられたこと自体で不利になることはありません。

Q. 自分も遺産を取得するつもりはない

遺産を受け取るつもりがなければ、相続分の譲渡や放棄をして、手続きから抜ける方法があります。

まとめ

遺産分割調停を申し立てられたら、届いた申立書と遺産目録を確認し、照会書を期限までに返送して、自分の主張と資料を準備します。欠席を続けると、自分の事情が考慮されないまま審判や調停に代わる審判で分け方が決まるおそれがあります。

裁判所から書類が届いたら、期限があるので、すぐにご相談ください。

この記事の監修

弁護士 齊藤 翔平(埼玉弁護士会所属/大宮ありあけ法律事務所)

青山学院大学法学部卒業。
弁護士紹介を見る →