遺産分割調停の流れ|何回で終わる?何を話す?

監修:弁護士 佐藤 都(埼玉弁護士会所属/大宮ありあけ法律事務所)

兄弟との遺産分割の話し合いがまとまらず、家庭裁判所の調停を申し立てることにした。調停では、何回くらい裁判所に行くのか、毎回何を話すのか、どのくらいの期間で終わるのか。初めての方には、見通しが立ちにくいものです。遺産分割調停は、話す順番がある程度決まっていて、裁判所はその順番に沿って進めます。この記事では、申立てから成立までの流れと、各段階で話し合うこと、期間の目安を解説します。

こんな疑問はありませんか?

  • 遺産分割調停は、どこに、何を出して申し立てる?
  • 調停は何回くらい、どのくらいの期間かかる?
  • 毎回、何を話し合う?
  • まとまらなかったらどうなる?

この記事でわかること

  • 申立てに必要なものと、申し立てる裁判所
  • 調停で話し合う順番(相続人の範囲 → 遺産の範囲 → 評価 → 特別受益・寄与分 → 分け方)
  • 回数と期間の目安
  • まとまらないときの審判と、成立したときの調停調書

申立て

遺産分割調停は、相手方(ほかの相続人)のうち1人の住所地を管轄する家庭裁判所に申し立てます。相続人が複数いる場合は、そのうち誰を相手方にするかで、申し立てる裁判所を選べることになります。

  • 申立書
  • 亡くなった方の出生から死亡までの戸籍、相続人全員の戸籍
  • 遺産目録と、裏付けの資料(不動産の登記事項証明書・固定資産税評価証明書、預金の残高証明など)
  • 収入印紙(1,200円)と郵便切手

申立てから第1回の期日までは、1〜2か月程度かかるのが一般的です。

調停で話し合う順番

遺産分割調停は、次の順番で論点を一つずつ確定していく進め方(段階的進行)が取られています。前の段階が決まらないと、次に進めません。

遺産分割調停で話し合う順番1相続人の範囲誰が相続人か2遺産の範囲何が遺産か3遺産の評価不動産などをいくらとみるか4特別受益・寄与分生前贈与・介護などの調整5分割の方法誰が何を取得するか※ 前の段階が決まらないと、次に進めません
図 遺産分割調停で話し合う順番
1. 相続人の範囲誰が相続人か。戸籍で確認し、争いがあれば(認知、養子縁組の有効性など)、先に別の裁判で決める
2. 遺産の範囲何が遺産か。預貯金・不動産・株式などを確定する。使い込みなど、遺産かどうかに争いがある財産は、合意できなければ別の裁判になる
3. 遺産の評価不動産や株式をいくらと評価するか。合意できなければ鑑定
4. 特別受益・寄与分生前贈与や介護などを考慮して、各相続人の取り分(具体的相続分)を決める
5. 分割の方法誰がどの財産を取得するか。現物で分ける、代償金を払う、売却して分ける、など

POINT 調停は「とにかく話し合う」場ではなく、論点を順番に決めていく手続きです。主張には裏付けの資料が求められ、資料が出せない主張は認められないのが実情です。早い段階で、資料をそろえておくことが大切です。

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申立ての準備から、調停での主張、成立までを弁護士がサポートします。

回数と期間の目安

調停の期日は、1か月から1か月半に1回程度のペースで開かれ、1回あたり2時間程度です。調停委員が、申立人と相手方を交互に調停室に呼んで話を聞く形で進みます。

期間は事案によって大きく異なりますが、半年から1年程度で成立することが多く、遺産の評価や特別受益・寄与分で争いがあると、1年以上かかることもあります。

まとまらなければ審判に

話し合いがまとまらず、調停が不成立になると、自動的に「審判」という手続きに移り、裁判官が、それまでの資料と主張をもとに、遺産の分け方を決めます。審判に不服があれば、2週間以内に高等裁判所に不服申立て(即時抗告)ができます。

成立したら調停調書ができる

調停で合意ができると、その内容が「調停調書」にまとめられます。調停調書は確定した判決と同じ効力があり、不動産の名義変更や預金の払戻しは、調停調書を使って行います。代償金の支払いなどが守られない場合は、調停調書をもとに強制執行ができます。

弁護士に依頼するメリット

  • 主張の順番と、必要な資料を整理して、調停を早く進められる
  • 調停委員とのやりとりを弁護士が行い、感情的な対立を避けられる
  • 本人が毎回出席しなくても、弁護士が代理で出席できる(電話会議・ウェブ会議も使える)
  • 審判に移った場合も、そのまま対応できる

よくある質問

Q. 調停には、相続人全員が参加しないといけない?

相続人全員が当事者になりますが、遺産を受け取るつもりがない人は、相続分の譲渡や放棄をして、手続きから抜けることもできます。

Q. 相手が遠方に住んでいる

相手の住所地の家庭裁判所に申し立てるのが原則です。電話会議やウェブ会議で参加できる場合もあります。

Q. 調停を申し立てると、相手との関係が悪くなる?

申立ての前に、調停を考えていることを手紙などで伝えておくと、相手の反発を和らげられることがあります。

まとめ

遺産分割調停は、相手方の住所地の家庭裁判所に申し立て、相続人の範囲 → 遺産の範囲 → 評価 → 特別受益・寄与分 → 分割の方法、の順番で論点を決めていきます。1か月から1か月半に1回のペースで、半年から1年程度かかることが多く、まとまらなければ審判に移ります。

資料の準備と主張の整理が、調停を早く進める鍵です。申立ての前にご相談ください。

この記事の監修

弁護士 佐藤 都(埼玉弁護士会所属/大宮ありあけ法律事務所)

上智大学法学部、北海道大学法科大学院卒業。
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