中皮腫と診断されたら|最初にやること

監修:弁護士 和田 慈朗(埼玉弁護士会所属/大宮ありあけ法律事務所)

病院で「中皮腫」と診断された。頭が真っ白で、治療のことで精一杯だが、昔、建設現場で働いていたことを思い出した。アスベストの補償があると聞いたけれど、何から手を付ければいいのだろう。中皮腫は、アスベストを吸ったこと以外ではほとんど起こらない病気なので、仕事などで吸った経緯があれば、補償を受けられる可能性が高い病気です。この記事では、診断を受けた直後に、ご本人とご家族が何を、どの順番でやるとよいかを、時系列で解説します。

こんな疑問はありませんか?

  • 中皮腫と診断されたら、最初に何をすればいい?
  • 労災と給付金、どちらを先に申請する?
  • 治療中でも、手続きはできる?
  • 病院で何を聞いておけばいい?

この記事でわかること

  • 診断直後にやることの順番(職歴の整理 → 労災の請求 → 建設アスベスト給付金)
  • 労災を先に請求すると、給付金の審査が早くなること
  • 治療費や休業中の生活費の補償
  • 病院で確認しておきたいこと

やることの順番

1. 職歴を書き出すいつ・どこで・どんな仕事をしていたかを、思い出せる範囲で書き出す。現場の名前、元請け、一緒に働いた人の名前も
2. 病院で確認する診断書の病名(悪性胸膜中皮腫など)、画像(CT)や組織検査の記録が残ることを確認する
3. 労災を請求する仕事でアスベストを吸った方は、労働基準監督署に労災(療養補償・休業補償)を請求する。認定されると治療費がかからなくなる
4. 建設アスベスト給付金を請求する建設現場で働いていた方は、労災の決定が出た後に請求すると、審査が早く進む
5. ほかの補償も確認する国への損害賠償(アスベスト訴訟の和解)、勤め先への損害賠償など

POINT 最初にやるのは「職歴を書き出すこと」です。ご本人の記憶が、いちばん大切な資料になります。体調のよいときに、ご家族と一緒に、できるだけ詳しく書き留めておいてください。

労災を先に請求する理由

建設アスベスト給付金の請求には、仕事でアスベストを吸ったことと病気の資料が必要ですが、先に労災の認定を受けていると、「労災支給決定等情報提供サービス」を使って、労災の認定の記録をそのまま給付金の審査に使うことができ、審査が早く進みます。

労災が認定されると、治療費は労災から支払われ(自己負担なし)、仕事を休んだ分の休業補償(給料の約8割)も受けられます。治療中の経済的な負担を減らすためにも、労災の請求を先に進めるのが基本です。

中皮腫と診断された方・ご家族のご相談をお受けしています
治療に専念していただけるよう、労災や給付金の手続きを弁護士が代わりに進めます。

建設アスベスト給付金

建設現場でアスベストを吸った方(労働者だけでなく、一人親方や中小の事業主も含みます)が中皮腫になった場合、国から1,150万円の給付金が支給されます。労災とは別に受け取れます。

工場で働いていた方・仕事以外で吸った方

  • 石綿工場などで働いていた方:労災に加えて、一定の時期に働いていた方は、国への損害賠償(アスベスト訴訟の和解手続き)を使える
  • 仕事以外(工場の近くに住んでいた、家族の作業着を洗っていた)で吸った方:労災は使えないが、石綿健康被害救済制度(環境再生保全機構)で医療費や療養手当を受けられる

病院で確認しておきたいこと

  • 診断書に「中皮腫」の病名と、診断の根拠(組織検査の結果)が書かれること
  • CTなどの画像に、胸膜プラークがあるかどうか
  • 組織検査で採った標本が保存されること(将来の手続きで使うことがある)
  • 主治医に「仕事でアスベストを吸った可能性がある」と伝えておく

治療中の手続きは、ご家族や弁護士が代わりにできる

労災や給付金の請求書類は、ご本人の署名が必要なものもありますが、資料集めや書類の作成は、ご家族や弁護士が代わりに進められます。ご本人は治療に専念し、手続きは任せる形にすることをおすすめします。

よくある質問

Q. すでに退職している。労災は使える?

使えます。退職後に発症した場合でも、在職中にアスベストを吸った仕事が原因であれば、労災の対象です。

Q. 職歴の資料が何もない

ご本人の記憶を書き出すことから始めます。年金の記録で勤め先と期間を確認し、同僚の証言などで裏付けていきます。

Q. 手続きの途中で本人が亡くなった場合は?

ご遺族が手続きを引き継ぎ、遺族向けの補償(遺族補償、給付金)を請求できます。生前に始めていた手続きは無駄になりません。

まとめ

中皮腫と診断されたら、まず職歴を書き出し、病院で診断の記録を確認したうえで、労災を請求し、建設現場で働いていた方はその後に建設アスベスト給付金を請求するのが基本の順番です。労災の認定を先に受けると、給付金の審査が早く進みます。手続きはご家族や弁護士が代わりに進められます。

治療に専念していただくためにも、早めにご相談ください。

この記事の監修

弁護士 和田 慈朗(埼玉弁護士会所属/大宮ありあけ法律事務所)

社会保険労務士試験合格。官公庁での勤務を経て弁護士に。
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