監修:弁護士 佐藤 都(埼玉弁護士会所属/大宮ありあけ法律事務所)
監護者の指定を申し立てたら、裁判所から「家庭裁判所調査官が、ご自宅を訪問します」と連絡があった。何を見られるのだろうか。子どもに何を聞くのだろうか。部屋を片付けておいたほうがいいのか。監護者指定や親権、面会交流の手続きでは、家庭裁判所調査官による調査が、裁判所の判断に大きな影響を与えます。この記事では、調査官の調査の内容と流れ、準備しておきたいこと、気をつけたいことを解説します。
こんな疑問はありませんか?
- 家庭裁判所調査官とは、どんな人?
- 家庭訪問では、何を見られる?
- 子どもには、何を聞かれる?
- 調査の結果は、どう使われる?
この記事でわかること
- 家庭裁判所調査官の役割
- 調査の種類(親との面接・家庭訪問・子どもとの面接・学校などへの照会)
- 調査の前に準備しておきたいこと
- 調査報告書の扱いと、内容に納得できないとき
家庭裁判所調査官とは
家庭裁判所調査官は、心理学、社会学、教育学などの専門知識を持つ家庭裁判所の職員です。監護者指定、親権、面会交流などの手続きで、裁判官の命令を受けて、子どもや家庭の状況を調べ、子どもにとって何が最もよいかについての意見を報告書にまとめます。
調査官は、どちらかの親の味方ではなく、子どもの利益の観点から中立に調査します。
調査の種類と流れ
| 親との面接 | 裁判所で、それぞれの親から、これまでの育児の状況、別居の経緯、今の生活、今後の監護の方針などを聞く |
|---|---|
| 家庭訪問 | 子どもが暮らしている家を訪問し、住まいの環境、子どもと親の関わり方、生活の様子を確認する |
| 子どもとの面接 | 子どもの年齢に応じて、子どもの気持ちや生活の様子を聞く。小さな子どもの場合は、遊びの様子や親との関わりを観察する |
| 学校・保育園などへの照会 | 保育園、幼稚園、学校、病院などに、子どもの様子や送迎の状況などを問い合わせる |
調査は、数週間から2か月程度かけて行われることが多く、すべての種類の調査が行われるとは限りません。
調査官調査を控えている方のご相談をお受けしています
調査の前に、伝えるべき事情の整理と、準備の仕方をアドバイスします。
家庭訪問で見られる点
- 子どもが安全で、落ち着いて生活できる住まいか(極端に散らかっていないか、危険な物がないか)
- 子どもの寝る場所、勉強する場所、遊ぶ場所
- 子どもと親の自然な関わり方(会話、スキンシップ、子どもの表情)
- 食事や生活のリズム
- 祖父母など、子育てを支えてくれる人の様子
POINT 完璧な家である必要はありません。普段の生活のまま、子どもが安心して暮らしていることが伝わることが大切です。無理に取り繕うより、清潔で安全な状態を保つことを心がけましょう。
子どもとの面接で大切なこと
調査官は、子どもの気持ちを丁寧に聞き取りますが、子どもが一方の親から言わされていないかにも注意しています。
- 調査の前に、子どもに「こう言いなさい」と言い含めない
- 子どもの前で相手の悪口を言わない
- 子どもが調査官と話すことに不安を感じていたら、「思ったことを話していいよ」と伝える
子どもに言わせたことがわかると、かえってその親に不利な評価につながります。
調査報告書の扱い
調査が終わると、調査官は調査報告書を作成し、裁判官に提出します。報告書には、調査の結果と、調査官の意見が書かれており、裁判所の判断に大きく影響します。
当事者は、原則として報告書を閲覧・コピーすることができます。報告書の内容に事実と違う点や納得できない点がある場合は、書面で意見を述べ、反論の資料を提出することができます。
調査の前に準備しておきたいこと
- これまでの育児と、今の生活の状況を、時系列で整理しておく(面接で伝えるため)
- 保育園の連絡帳、母子手帳、通院の記録などを手元に用意する
- 今後の監護の方針(仕事との両立、住まい、学校)を説明できるようにする
- 面会交流についての考えを整理しておく
よくある質問
Q. 家庭訪問は断れる?
調査への協力は任意ですが、断ると、監護の状況を確認できないとして、判断で不利に働くおそれがあります。
Q. 調査官に弁護士は立ち会える?
面接や家庭訪問に弁護士が同席することは、通常はありません。事前に弁護士と準備をしておくことが大切です。
Q. 調査官の意見と違う判断が出ることはある?
裁判官は調査官の意見に拘束されませんが、実際には意見が重視されることが多くあります。
まとめ
家庭裁判所調査官は、監護者指定や親権の手続きで、親との面接、家庭訪問、子どもとの面接、学校などへの照会を行い、子どもの利益の観点から報告書をまとめます。普段の生活のまま、子どもが安心して暮らしていることが伝わるよう準備し、子どもに言い含めることは避けましょう。
調査の前に、伝えるべき事情を一緒に整理します。ご相談ください。