監修:弁護士 佐藤 都(埼玉弁護士会所属/大宮ありあけ法律事務所)
別居中、どちらが子どもを育てるかで争いになっている。家庭裁判所は、何を基準に監護者を決めるのだろうか。「母親が有利」と聞くけれど本当か。父親は不利なのか。監護者の指定では、親の希望や、どちらが悪いかではなく、「子どもにとって、どちらのもとで暮らすのがよいか」が判断されます。この記事では、家庭裁判所が監護者を決めるときに重視するポイントを、具体的に解説します。
こんな疑問はありませんか?
- 監護者は、どうやって決まる?
- 母親のほうが有利?
- 子どもの意思は、どのくらい尊重される?
- 仕事が忙しいと不利になる?
この記事でわかること
- 監護者を決める基本の考え方(子の利益)
- 裁判所が重視する6つのポイント
- 「母親優先」は今も通用するか
- 自分に有利な事情を示すための準備
基本の考え方:子どもの利益
監護者を決めるとき、家庭裁判所は、子どもの利益(子どもの健やかな成長にとって何が最もよいか)を基準に判断します。夫婦のどちらに別居や離婚の原因があるかは、子どもの監護に影響する場合を除き、直接の判断材料にはなりません。
裁判所が重視する6つのポイント
| 1. 主たる監護者 | これまで、子どもの食事、入浴、寝かしつけ、保育園の送迎、通院などを主に担ってきたのはどちらか |
|---|---|
| 2. 監護の継続性 | 今の生活環境(住まい、保育園・学校、友人関係)が安定しているか。環境を変えることが子どもの負担にならないか |
| 3. 子どもの意思 | 子どもの年齢と成熟度に応じて、子どもの気持ちが考慮される。15歳以上の子どもについては、裁判所は意見を聞かなければならない |
| 4. 監護の能力と環境 | 健康状態、仕事と育児の両立、住まい、祖父母など支えてくれる人がいるか |
| 5. 相手との交流への寛容さ | 別居後、子どもと相手との面会交流に協力的か |
| 6. 監護を始めた経緯 | 子どもを連れて行った方法に問題がなかったか(暴力的な連れ去りなど) |
POINT 最も重視されるのは、これまでの主たる監護者と、今の生活の安定です。「どれだけ子どもと関わってきたか」を、具体的な事実と資料で示すことが大切です。
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これまでの育児の状況と今の生活を伺い、監護者として認められる見通しと、示すべき事情をお伝えします。
「母親優先」は今も通用するか
かつては、幼い子どもは母親が育てるべきだという考え方(母親優先の原則)がありました。現在は、性別ではなく、実際に子どもの世話を主に担ってきたのは誰か(主たる監護者)が重視されています。結果として母親が主たる監護者であることが多いため、母親が監護者に指定されることが多いのですが、父親が主に育児を担ってきた場合は、父親が監護者に指定されることもあります。
子どもの意思の扱い
子どもの意思は、年齢が上がるほど重視されます。おおむね10歳前後から、子どもの気持ちが判断に影響しやすくなり、15歳以上の子どもについては、裁判所は必ず意見を聞くことになっています。
ただし、子どもが一方の親の影響を強く受けている場合などは、子どもの言葉がそのまま採用されるとは限りません。家庭裁判所調査官が、子どもの本当の気持ちを丁寧に確認します。
兄弟姉妹は一緒に
兄弟姉妹がいる場合は、できるだけ兄弟姉妹を分けないこと(兄弟不分離)も考慮されます。ただし、子どもたちの年齢や意思によっては、別々の親のもとで暮らすことが認められる場合もあります。
有利な事情を示すための準備
- 育児の分担がわかる記録(連絡帳、母子手帳への記入、送迎・通院の記録、写真)
- 別居後の生活の様子(子どもの通園・通学、健康状態、生活のリズム)
- 仕事の勤務時間と、子育ての時間の確保の方法(時短勤務、在宅勤務、祖父母の協力)
- 面会交流に協力してきたことがわかるやりとり
よくある質問
Q. 仕事がフルタイムだと不利?
仕事をしていること自体で不利になるわけではありません。保育園や祖父母の協力など、子育ての体制が整っていることを示すことが大切です。
Q. 相手が不倫をしていた
不倫そのものは、監護者の判断で直接は考慮されません。ただし、子どもの世話をおろそかにしていたなど、監護に影響する事情があれば考慮されます。
Q. 経済力がある方が有利?
経済力の差は、養育費で調整できるため、監護者の判断で大きな要素にはなりません。
まとめ
監護者は、子どもの利益を基準に、主たる監護者、監護の継続性、子どもの意思、監護の能力と環境、相手との交流への寛容さ、監護を始めた経緯などを総合して決められます。性別ではなく、実際に子どもの世話を担ってきたのは誰かが重視されます。
これまでの育児の実績を、資料で具体的に示すことが大切です。ご相談ください。