歩合給・自営業の養育費|収入が毎年違うとき

監修:弁護士 佐藤 都(埼玉弁護士会所属/大宮ありあけ法律事務所)

相手は自営業で、年によって収入が倍も違う。歩合給の営業職で、去年は好調だったが今年は落ち込んでいる。こうした相手との養育費は、どの年の収入で計算すればよいのでしょうか。相手は収入の少ない年の数字を出してきますし、こちらは多い年の数字で計算したい。この記事では、収入の変動が大きい場合の計算の考え方と、あとで困らないための「見直し条項」の入れ方を解説します。

こんな疑問はありませんか?

  • どの年の収入で養育費を計算する?
  • 相手が「今年は収入が減った」と言ってきたら?
  • 過去の平均で計算することはできる?
  • 収入が変わったときに自動で見直す仕組みはある?

この記事でわかること

  • 直近の収入が基本であること
  • 変動が大きい場合に過去数年の平均を使う考え方
  • 将来の変動に備える見直し条項
  • 資料の集め方

直近の収入が基本

婚姻費用や養育費の計算では、直近の1年の収入(給与所得者は前年の源泉徴収票、自営業者は前年の確定申告書)を使うのが基本です。将来にわたって支払うものなので、できるだけ現在に近い収入を基準にします。

変動が大きい場合は平均を使うことがある

自営業や歩合給で、年ごとの収入の変動が大きい場合、直近1年だけで計算すると、たまたま良かった年・悪かった年に左右されてしまいます。

そこで、家庭裁判所の実務では、過去3年程度の収入の平均を使って計算する方法が取られることがあります。どの方法を使うかは、変動の理由(一時的な事情か、傾向的な減少か)や、今後の見込みによって判断されます。

直近1年で計算する収入が安定している/直近の収入が今後も続く見込み
過去数年の平均で計算する年ごとの変動が大きく、特定の年が例外的/事業の性質上、好不調の波がある
今後の見込みで計算する転職や廃業など、収入の構造が変わったことがはっきりしている

POINT 相手が収入の少ない年の資料だけを出してきたときは、過去数年分の資料の提出を求めましょう。変動の理由が一時的なものなら、平均で計算するよう主張できます。

自営業・歩合給の相手との養育費のご相談をお受けしています
相手の収入資料をもとに、どの年の収入で計算するのが妥当かをお伝えします。

見直し条項を入れておく

収入の変動が大きい相手との取り決めでは、将来の変動に備えて、調停調書や公正証書に「見直し条項」を入れておくと、あとで減額・増額の争いになりにくくなります。

  • 「毎年○月に、前年の収入をもとに金額を協議する」
  • 「年収が○万円以上増減した場合は、改めて協議する」
  • 「収入が増えた場合は、算定表に従って増額する」

ただし、「協議する」だけの条項では、協議がまとまらないときの決め方がないため、「協議が調わないときは家庭裁判所の調停による」などの文言を加えておきます。

資料の集め方

  • 自営業者:過去3年分の確定申告書(決算書・収支内訳書を含む)
  • 歩合給:過去3年分の源泉徴収票と、給与明細
  • 会社役員:役員報酬の決定資料と、会社の決算書
  • 相手が出さない場合は、調停の中で提出を求めるか、調査嘱託を申し立てる

よくある質問

Q. 相手がコロナで収入が減ったと言ってきた

一時的な減少であれば、回復の見込みも含めて判断されます。減少が続いている場合は、直近の収入で計算されることもあります。

Q. 相手の収入が去年だけ突出して高かった

一時的な収入(臨時の報酬など)であれば、平均で計算するか、その分を除いて計算するよう主張できます。

Q. 一度決めた養育費を、収入が増えたときに増やしてもらえる?

事情の変更があれば、増額の調停を申し立てられます。見直し条項があれば、話し合いがしやすくなります。

まとめ

養育費や婚姻費用は直近1年の収入で計算するのが基本ですが、自営業や歩合給で変動が大きい場合は、過去3年程度の平均を使うことがあります。将来の変動に備えて、見直し条項を取り決めに入れておくと、あとで争いになりにくくなります。

相手の収入資料を拝見すれば、妥当な計算方法の見通しをお伝えします。

この記事の監修

弁護士 佐藤 都(埼玉弁護士会所属/大宮ありあけ法律事務所)

上智大学法学部、北海道大学法科大学院卒業。
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