財産隠しの調べ方|財産分与で相手の口座を探す

監修:弁護士 佐藤 都(埼玉弁護士会所属/大宮ありあけ法律事務所)

相手は「預金はほとんどない」と言うが、収入からすると、もっと貯めているはずだ。知らない口座や証券口座があるのではないか。財産分与は、お互いの財産を出し合って計算するものですが、相手が財産を隠していると、正しい分与ができません。この記事では、相手の財産を調べる方法と、調停・裁判で使える手続き、隠し財産を見つける手がかりを解説します。

こんな疑問はありませんか?

  • 相手が財産を隠していそうなとき、どうやって調べる?
  • 弁護士に頼むと、相手の口座を調べてもらえる?
  • 裁判所から銀行に照会してもらうことはできる?
  • 相手が資料を出さないと、どうなる?

この記事でわかること

  • 隠し財産の手がかりの見つけ方
  • 弁護士会照会でできること・できないこと
  • 調停・裁判での調査嘱託と文書提出命令
  • 調べても見つからないときの考え方

まず手がかりを探す

相手の財産を調べる手続きには、「どの金融機関のどの口座か」をある程度しぼる必要があるものが多くあります。まずは、手元にある資料から手がかりを探します。

  • 給与明細や源泉徴収票(財形貯蓄、持株会、確定拠出年金の控除があるか)
  • 確定申告書(配当や不動産の収入、保険料控除の内容)
  • 生命保険料控除証明書、保険会社からの郵便物
  • 通帳の振替先(証券会社、別の銀行、保険会社への送金)
  • 郵便物やメールに届く、金融機関や証券会社の案内
  • クレジットカードの引落し口座

POINT 同居しているうちに、こうした資料の写真や控えを取っておくことが、あとで最も役に立ちます。別居後は、資料にアクセスできなくなります。

弁護士会照会でできること

弁護士に依頼すると、弁護士会を通じて、金融機関や保険会社、証券会社に、口座や契約の有無・残高を照会することができます。ただ、財産分与の場合、判決などの債務名義がないため、銀行によっては支店を特定しないと回答しない場合や、回答を得られない場合があります。相手が使っていそうな金融機関の見当をつけることが大切です。

財産分与で相手の財産がわからない方のご相談をお受けしています
手元にある資料から手がかりを探し、調査の方法と見通しをお伝えします。

調停・裁判での調査嘱託

調停や審判、訴訟の中では、裁判所から金融機関などに対して、口座の有無や取引履歴の回答を求める「調査嘱託」を申し立てることができます。弁護士会照会で回答が得られなかった金融機関でも、裁判所からの嘱託には回答することが多くあります。

また、相手が持っている資料(通帳、証券会社の取引報告書など)については、裁判所に「文書提出命令」を申し立てて、提出させる方法もあります。

相手が資料を出さない場合

調停では、相手が財産の資料を出さないと話し合いが進まないことがあります。その場合は、審判や訴訟に進んで、調査嘱託や文書提出命令を使うことを検討します。裁判所からの求めに相手が応じない場合、相手に不利な事実が認められることもあります。

調べても見つからないとき

すべての隠し財産を見つけられるとは限りません。その場合は、相手の収入と生活費から、本来あるはずの貯蓄額を推定して主張したり、見つかった財産を基準にして、早めに合意したほうがよいかを検討したりします。費用と時間をかけて調べる価値があるかは、見込まれる金額との兼ね合いで判断します。

よくある質問

Q. 相手名義のネット銀行は調べられる?

ネット銀行も、弁護士会照会や調査嘱託の対象にできます。相手が使っていそうな銀行の見当がつくと、効率よく調べられます。

Q. 相手の親名義に移された財産は?

相手が別居直前に親に送金したなどの事情があれば、取引履歴をもとに、その分を財産に戻して計算するよう主張できます。

Q. 暗号資産は調べられる?

取引所への照会で確認できることがあります。相手の端末やメールに手がかりが残っていることも多くあります。

まとめ

相手が財産を隠していそうなときは、給与明細や確定申告書、通帳の振替先などから手がかりを探し、弁護士会照会や、調停・裁判での調査嘱託・文書提出命令で確認します。同居中に資料を控えておくことが、最も効果的な対策です。

調べる方法は事案によって変わります。手元の資料を持って、早めにご相談ください。

この記事の監修

弁護士 佐藤 都(埼玉弁護士会所属/大宮ありあけ法律事務所)

上智大学法学部、北海道大学法科大学院卒業。
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