財産分与の基準時|別居後の財産はどうなる?

監修:弁護士 佐藤 都(埼玉弁護士会所属/大宮ありあけ法律事務所)

別居してから2年がたち、ようやく離婚の話し合いが始まった。別居の後に自分が貯めたお金まで、相手に分けないといけないのだろうか。逆に、別居後に相手が買った車や、相手が受け取ったボーナスは分けてもらえるのか。財産分与では、「いつの時点の財産を分けるのか」が、金額を大きく左右します。この記事では、財産分与の基準時の考え方と、別居後の財産の扱いを解説します。

こんな疑問はありませんか?

  • 財産分与は、いつの時点の財産で計算する?
  • 別居後に自分が貯めたお金は、相手に分けないといけない?
  • 別居後に相手が使ってしまった財産は?
  • 不動産や株は、いつの値段で評価する?

この記事でわかること

  • 財産分与の対象を決める基準時(別居時)
  • 評価の基準時(離婚時)との違い
  • 別居後の財産の増減の扱い
  • 別居前に相手が財産を使い込んだ場合

対象を決める基準時は別居時

財産分与の対象になるのは、夫婦が協力して築いた財産です。別居すると、夫婦の協力関係は事実上終わるため、家庭裁判所の実務では、別居した時点にある財産を分与の対象とするのが原則です。

そのため、別居後に自分が働いて貯めたお金は原則として対象にならず、別居後に相手が得たボーナスや買った財産も、原則として対象になりません。

財産分与の2つの基準時結婚別居離婚共有財産を築く期間別居期間どの財産が対象か(別居時)いくらか(離婚時)例・別居時の預金500万円を、別居後に使って300万円に→ 500万円として計算・別居後に受け取った給料やボーナス→ 対象外・不動産や株 → 別居時に持っていたものを離婚時の価格で
図 財産分与の2つの基準時

POINT 別居の日は、財産分与の計算の出発点です。別居した日がわかる資料(引越しの契約書、住民票の異動、メッセージのやりとりなど)を残しておきましょう。

評価の基準時は離婚時

一方で、別居時に存在した財産を「いくらと評価するか」は、離婚の時点(裁判なら口頭弁論終結時)が基準になるのが一般的です。

預貯金別居時の残高が対象。その後の増減は原則として考慮しない
不動産・株式別居時に持っていたものが対象。評価額は離婚時の価格
保険別居時の解約返戻金の額で評価するのが一般的
住宅ローンなどの負債別居時の残高を、財産から差し引いて計算

不動産や株式の値段が別居後に大きく動いた場合は、どの時点の価格で評価するかが争いになることがあります。

財産分与のご相談をお受けしています
別居の時期と、双方の財産の状況を伺い、分与の対象と見通しをお伝えします。

別居後の財産の増減

  • 別居後に相手が預金を使った場合:別居時の残高で計算するため、使った分も分与の対象として計算される
  • 別居後に相手が得た収入:原則として対象外
  • 別居後も家計が一緒だった場合(生活費を送り合っていたなど):別居時ではなく、実質的に協力関係が終わった時点が基準になることがある

別居前の使い込み

別居の直前に、相手が預金を引き出して隠したり、浪費したりした場合は、その分が財産に残っているものとして計算することを主張できます。相手の通帳の取引履歴を調停の中で確認し、不自然な引き出しがあれば、使い道の説明を求めます。

別居前に準備しておきたいこと

  • 双方の預金通帳、保険証券、不動産の登記事項証明書、ローンの残高証明などの控えを取っておく
  • 相手名義の財産でわかっているもの(証券口座、車、退職金の見込みなど)をメモしておく
  • 別居の日を記録に残す

よくある質問

Q. 家庭内別居の場合、基準時はいつ?

家計が別々になった時期など、実質的に協力関係が終わった時点が基準とされることがあります。立証が難しいため、記録が大切です。

Q. 別居後に相手が宝くじに当たった

別居後に得た財産なので、原則として対象になりません。

Q. 別居時の残高の資料がない

調停の中で相手に提出を求めたり、金融機関への調査嘱託を使ったりして確認できます。

まとめ

財産分与の対象は、原則として別居した時点にある財産で、別居後に増えた財産は対象になりません。一方、評価は離婚時の価格で行います。別居の日を記録し、別居前に相手の財産の資料を控えておくことが大切です。

基準時の考え方で金額が大きく変わります。別居の前後に、一度ご相談ください。

この記事の監修

弁護士 佐藤 都(埼玉弁護士会所属/大宮ありあけ法律事務所)

上智大学法学部、北海道大学法科大学院卒業。
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