一人親方だった方へ|建設アスベスト給付金

監修:弁護士 齊藤 翔平(埼玉弁護士会所属/大宮ありあけ法律事務所)

長年、一人親方として建設現場で働いてきた。会社に雇われていたわけではないので、労災にも入っていなかった。最近、中皮腫と診断されたが、自分のような立場でも、アスベストの補償は受けられるのだろうか。建設アスベスト給付金は、会社に雇われていた労働者だけでなく、一人親方や中小の事業主だった方も対象です。この記事では、一人親方・個人事業主だった方が給付金を受けるための条件と、職歴の証明のしかたを解説します。

こんな疑問はありませんか?

  • 一人親方でも、建設アスベスト給付金は受けられる?
  • 労災に入っていなかったが、大丈夫?
  • 一人親方だったことを、どうやって証明する?
  • 労災の特別加入をしていた場合は?

この記事でわかること

  • 建設アスベスト給付金は一人親方・中小事業主も対象であること
  • 労災に入っていなくても受けられること
  • 一人親方の職歴を証明する資料
  • 労災の特別加入をしていた場合に使える制度

一人親方・中小事業主も給付金の対象

建設アスベスト給付金は、2021年の最高裁判決を受けて作られた制度で、国が建設現場のアスベスト対策を怠ったことについて、建設業務に従事していた方に給付金を支給するものです。対象には、会社に雇われていた労働者だけでなく、一人親方や、自分も現場で作業していた中小の事業主も含まれています。

対象になる方一定の期間に、日本国内の建設現場でアスベストにさらされる作業に従事し、中皮腫・肺がん・石綿肺・びまん性胸膜肥厚・良性石綿胸水になった方(一人親方・中小事業主を含む)
対象の期間石綿の吹付け作業:1972年10月1日〜1975年9月30日/屋内の作業場での作業:1975年10月1日〜2004年9月30日
金額中皮腫・肺がんなどで1,150万円、亡くなった場合は1,300万円など(病気の種類と程度による)

POINT 労災に入っていなかったことは、給付金の妨げになりません。労災保険とは別の制度なので、一人親方として働いていたことと、病気を証明できれば請求できます。

一人親方の職歴を証明する資料

雇われていた方は年金や雇用保険の記録で勤め先を確認できますが、一人親方の場合は、自分で仕事を受けていた記録を集めることになります。

  • 確定申告書の控え(事業の内容、売上先)
  • 請求書・領収書・通帳の入金記録(元請けや取引先との取引)
  • 元請けとの契約書、注文書
  • 建設業の許可、技能講習・資格の証明書
  • 建設国保(建設業の国民健康保険組合)の加入記録
  • 労災の特別加入の記録(加入していた場合)
  • 一緒に現場に入っていた職人や元請けの担当者の証言
  • 現場の写真、工事台帳、日報

資料がそろっていなくても、ご本人の記憶(現場の場所、時期、作業の内容)を詳しく書き出し、取引先への照会などで裏付けていく方法があります。

一人親方・個人事業主だった方のご相談をお受けしています
確定申告書や請求書など、お手元にある資料から、職歴の証明を組み立てます。

労災の特別加入をしていた場合

一人親方は、本来は労災保険の対象外ですが、「特別加入」の手続きをしていれば、労災保険を使うことができます。特別加入をしていた期間にアスベストを吸った仕事が原因であれば、労災の療養補償・休業補償などを請求でき、労災の認定を受けてから建設アスベスト給付金を請求すると、審査も早く進みます。

特別加入をしていなかった方は、労災は使えませんが、建設アスベスト給付金のほか、国への損害賠償(アスベスト訴訟の和解手続き)を使える場合があります。

ご家族が亡くなっている場合

一人親方だった方が、すでにアスベストの病気で亡くなっている場合も、ご遺族が建設アスベスト給付金を請求できます。確定申告書や取引の記録は、ご遺族が集めることになります。

よくある質問

Q. 途中から法人にして、社長として現場に出ていた

自分も現場で作業していた中小の事業主も対象です。法人の記録(登記、決算書)も職歴の資料になります。

Q. 確定申告をしていなかった時期がある

ほかの資料(請求書、通帳、取引先の証言など)で補います。資料がない時期があっても、対象の期間の作業が証明できれば請求できます。

Q. 給付金を受けると、税金はかかる?

建設アスベスト給付金は非課税とされています。

まとめ

建設アスベスト給付金は、会社に雇われていた労働者だけでなく、一人親方や中小の事業主も対象で、労災に入っていなくても請求できます。確定申告書・請求書・通帳・取引先の証言などで職歴を証明し、特別加入をしていた方は労災もあわせて請求します。

一人親方だったからとあきらめず、お手元の資料を持ってご相談ください。

この記事の監修

弁護士 齊藤 翔平(埼玉弁護士会所属/大宮ありあけ法律事務所)

青山学院大学法学部卒業。
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