監修:弁護士 佐藤 都(埼玉弁護士会所属/大宮ありあけ法律事務所)
子どもに持病があり、毎月の通院や薬代がかかる。発達障害があり、療育や特別支援の費用も必要だ。算定表の養育費では、とても足りない。子どもに持病や障害がある場合、算定表の金額に、医療費や療育費などを加算することが認められることがあります。この記事では、加算が認められる費用の範囲と、計算のしかた、取り決めに入れておきたい内容を解説します。
こんな疑問はありませんか?
- 子どもの医療費は、算定表の養育費に含まれている?
- どんな費用なら加算できる?
- 加算の金額はどう計算する?
- 将来かかる費用は、どう取り決めればいい?
この記事でわかること
- 算定表に含まれている医療費の範囲
- 加算が認められやすい費用
- 加算額の計算のしかた
- 取り決めに入れておきたい内容
算定表に含まれている医療費
算定表の養育費には、子どもの標準的な医療費(風邪の通院や予防接種など)が含まれています。そのため、通常の範囲の医療費を別に請求することはできません。
ただ、持病や障害によって継続的にかかる費用は、標準的な範囲を超えるものとして、別に考慮されることがあります。
加算が認められやすい費用
- 持病の治療のための継続的な通院費・薬代・入院費(健康保険や公的助成を使った後の自己負担分)
- 療育やリハビリ、カウンセリングなど、障害に応じた専門的な支援の費用
- 特別支援学校や、障害に対応した学校・施設の費用
- 補装具や医療機器、介護用品の費用
- 通院や通所に必要な交通費
一方、親の判断で選んだ高額な民間療法や、公的な助成で賄える部分については、加算が認められにくくなります。
POINT 加算を求めるには、費用の内容と金額を示す資料(診断書、領収書、療育の契約書など)と、公的な助成を使っても残る自己負担の額を整理することが大切です。
持病や障害のあるお子さんの養育費のご相談をお受けしています
かかっている費用の内容を伺い、加算を求められる範囲と金額の見通しをお伝えします。
加算額の計算
加算が認められる場合、算定表に含まれている標準的な医療費を超える部分を、双方の収入の割合で分けるのが一般的です。
例えば、持病の治療で自己負担が年間36万円かかり、算定表に含まれる標準的な医療費が年間6万円程度とすると、超える部分30万円を、収入の割合(相手6:自分4なら)で分け、相手の負担は年間18万円(月1万5000円)が目安になります。
将来の費用が見通せない場合は、現時点の費用で決めたうえで、変動したときの見直しを取り決めておきます。
取り決めに入れておきたい内容
- 加算の対象となる費用の内容(通院費、療育費など)と、負担の割合
- 公的助成を受けた後の自己負担分を対象とすること
- 費用が大きく変動したとき(入院、手術、進学など)の協議の方法
- 領収書による精算の方法と時期
- 子どもが成人した後も、障害などで自立が難しい場合の扱い
子どもが成人した後
障害などで、成人後も子どもが経済的に自立できない場合は、成人後も養育費(扶養料)が認められることがあります。取り決めの段階で、終期を「20歳まで」などと固定せず、子どもの状況に応じて協議できる形にしておくことをおすすめします。
よくある質問
Q. 子どもの医療費助成で自己負担はほとんどない
自己負担がほとんどなければ、医療費の加算は認められにくくなります。療育や通院の交通費など、助成の対象外の費用があれば、その分を整理します。
Q. 相手が「障害のことは知らなかった」と言う
診断の時期にかかわらず、現にかかっている費用は加算の対象として主張できます。診断書などの資料を用意します。
Q. 特別児童扶養手当を受けている
手当は収入に含まれませんが、費用の一部をまかなっている実態として考慮されることはあります。
まとめ
子どもの持病や障害で継続的にかかる医療費や療育費は、算定表に含まれる標準的な医療費を超える部分として、双方の収入の割合で加算を求めることができます。資料で自己負担の額を示し、将来の変動や成人後の扱いも取り決めに入れておくことが大切です。
お子さんの状況に合わせた養育費の取り決めを、一緒に考えます。ご相談ください。