子どもをすぐ取り戻したい|審判前の保全処分

監修:弁護士 佐藤 都(埼玉弁護士会所属/大宮ありあけ法律事務所)

子どもを連れて行かれた。監護者指定と子の引渡しの審判を申し立てたいが、審判が出るまでには数か月かかると聞いた。その間に、子どもが相手のもとで暮らすことに慣れてしまうのではないか。子どもの身に危険があるのではないか。こうした場合に、審判を待たずに、仮に子どもの引渡しを命じてもらう手続きが「審判前の保全処分」です。この記事では、保全処分が認められる条件と、手続きの流れ、期間の目安を解説します。

こんな疑問はありませんか?

  • 審判の前に、子どもを取り戻す方法はある?
  • 保全処分は、どんな場合に認められる?
  • どのくらいの期間で判断が出る?
  • 保全処分が認められても、相手が応じなかったら?

この記事でわかること

  • 審判前の保全処分の仕組み
  • 認められるための2つの条件
  • 手続きの流れと期間の目安
  • 保全処分が出た後の引渡しと、執行の期限

審判前の保全処分とは

審判前の保全処分は、監護者指定や子の引渡しの審判(本案)が出る前に、仮に監護者を定めたり、子どもの引渡しを命じたりしてもらう手続きです。本案の審判を申し立てることが前提で、本案と同時に申し立てるのが一般的です。

保全処分が認められると、相手に対して、仮に子どもを引き渡すよう命じられ、相手が応じなければ強制執行をすることもできます。

認められるための2つの条件

1. 本案で認められる見込み最終的な審判でも、自分が監護者に指定され、引渡しが認められる可能性が高いこと(主たる監護者だった、監護の環境が整っている、など)
2. 保全の必要性(緊急性)審判を待っていては、子どもの心身に危険が生じる、または取り返しのつかない不利益が生じること

保全の必要性が認められやすいのは、次のような場合です。

  • 相手のもとで、子どもが虐待や育児放棄を受けているおそれがある
  • 相手が暴力的な方法で子どもを連れ去った
  • 相手のもとでの監護の環境が著しく悪い(相手の病気、生活の乱れなど)
  • 子どもの健康状態に急いで対応する必要がある

POINT 保全処分は、「審判を待っていられない」緊急性がなければ認められません。単に「早く取り戻したい」というだけでは足りず、子どもにとっての危険や不利益を、具体的な資料で示す必要があります。

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保全処分が認められる見込みを検討し、必要であれば、すぐに申立ての準備を始めます。

手続きの流れと期間の目安

  • 監護者指定・子の引渡しの審判とあわせて、保全処分を申し立てる
  • 裁判所が、できるだけ早く審問の期日を開き、双方の言い分を聞く
  • 必要に応じて、家庭裁判所調査官が調査をする
  • 裁判所が保全処分を認めるかどうかを判断する

保全処分は、通常の審判より早く判断されるのが一般的で、申立てから数週間から2か月程度で判断が出ることが多いとされています。事案や裁判所の状況によって期間は異なります。

保全処分が出た後

保全処分で子どもの引渡しが命じられても、相手が任意に応じない場合は、強制執行を申し立てることができます。ただし、保全処分の執行は、保全処分の命令が相手に届いてから2週間以内にしなければなりません。この期限を過ぎると、保全処分による執行ができなくなるため、命令が出たらすぐに執行の準備を始めます。

保全処分が認められなかった場合

保全処分が認められなくても、本案の審判は続きます。審判の中で、監護の実績や環境を示して、監護者の指定と引渡しを求めていきます。保全処分の判断に対しては、不服申立て(即時抗告)もできます。

よくある質問

Q. 保全処分だけを申し立てられる?

できません。監護者指定・子の引渡しの審判(本案)を申し立てることが前提です。

Q. 相手が保全処分を申し立ててきた

保全の必要性がないこと(子どもの生活が安定していること)を資料で示すことが大切です。準備の期間が短いため、すぐにご相談ください。

Q. 離婚調停中でも申し立てられる?

離婚調停とは別に、監護者指定・子の引渡しの審判と保全処分を申し立てることができます。

まとめ

審判前の保全処分は、監護者指定・子の引渡しの審判が出る前に、仮に子どもの引渡しを命じてもらう手続きです。本案で認められる見込みと、審判を待てない緊急性の2つが必要で、判断は数週間から2か月程度で出ることが多くあります。命令が出たら、2週間以内に執行する必要があります。

保全処分は時間との勝負です。お子さんを連れて行かれたら、すぐにご相談ください。

この記事の監修

弁護士 佐藤 都(埼玉弁護士会所属/大宮ありあけ法律事務所)

上智大学法学部、北海道大学法科大学院卒業。
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