監修:弁護士 佐藤 都(埼玉弁護士会所属/大宮ありあけ法律事務所)
夫婦でそれぞれ生命保険に入っていて、子どもの学資保険もある。離婚のとき、保険は財産分与の対象になるのだろうか。解約しないといけないのだろうか。保険は、貯蓄性があるもの(終身保険、養老保険、学資保険など)であれば財産分与の対象になり、掛け捨てのもの(定期保険、医療保険など)は原則として対象になりません。この記事では、保険の種類ごとの扱いと、評価のしかた、解約せずに分ける方法を解説します。
こんな疑問はありませんか?
- 保険は財産分与の対象になる?
- 掛け捨ての保険も対象?
- 解約返戻金はいつの時点で評価する?
- 解約せずに保険を続けたい場合は?
この記事でわかること
- 財産分与の対象になる保険・ならない保険
- 解約返戻金による評価と基準時
- 結婚前から加入していた保険の扱い
- 解約せずに分ける方法
対象になる保険・ならない保険
| 対象になる | 終身保険、養老保険、学資保険、個人年金保険、貯蓄型の医療保険など、解約すると返戻金があるもの |
|---|---|
| 対象にならない | 定期保険(掛け捨て)、掛け捨ての医療保険・がん保険、自動車保険、火災保険など、解約返戻金がない、またはごくわずかなもの |
保険の名義(契約者・被保険者・受取人)が誰であっても、結婚後に夫婦の収入から保険料を払っていれば、財産分与の対象になります。
解約返戻金による評価
保険は、別居時点で解約した場合に戻ってくる金額(解約返戻金)で評価するのが一般的です。保険会社に、別居時点の解約返戻金の額を証明する書類(解約返戻金証明書)を発行してもらいます。
保険料の払込期間が短い保険は、解約返戻金が払った保険料よりかなり少ないことがあります。それでも、評価は解約返戻金の額で行います。
POINT 保険を分与の対象にするには、保険の存在と解約返戻金の額がわかる資料が必要です。同居中に、保険証券や毎年届く契約内容のお知らせの写しを取っておきましょう。
保険を含む財産分与のご相談をお受けしています
保険証券を拝見し、分与の対象になるかどうかと、評価額の見通しをお伝えします。
結婚前から加入していた保険
結婚前から加入していた保険は、結婚前の保険料の分は特有財産ですが、結婚後に夫婦の収入から払った分は共有財産です。実務では、別居時の解約返戻金のうち、結婚後の払込期間に対応する割合を分与の対象とする方法が取られています。
例えば、加入から別居まで20年のうち、結婚後が15年なら、解約返戻金の4分の3を分与の対象とします。
解約せずに分ける方法
保険を解約すると、保障がなくなり、解約返戻金も少ないことがあるため、解約せずに分ける方法がよく使われます。
- 契約者がそのまま保険を続け、解約返戻金の2分の1相当額を相手に払う(代償金)
- ほかの財産(預金など)で調整して、保険はそのまま一方が取得する
- 学資保険は、子どもを育てる側が契約者を変更して引き継ぐ
→ 学資保険の引継ぎは「子ども名義の預金は分ける?|祖父母の贈与も」
受取人の変更
離婚後は、生命保険の受取人が元配偶者のままになっていることが多くあります。離婚が成立したら、受取人を子どもや親などに変更しておきましょう。変更しないと、万一のとき、元配偶者が保険金を受け取ることになります。
よくある質問
Q. 相手が保険に入っているかどうかわからない
生命保険料控除証明書や、給与明細の控除、通帳の引落しから確認できます。調停の中で、保険会社への調査嘱託を求める方法もあります。
Q. 保険料を親が払ってくれている
夫婦の収入ではなく親が払っている保険は、特有財産として分与の対象にならないことがあります。資料で示す必要があります。
Q. 保険の契約者貸付を受けている
契約者貸付の残高は、解約返戻金から差し引いて評価します。
まとめ
終身保険・養老保険・学資保険など解約返戻金のある保険は、別居時点の解約返戻金の額で評価して財産分与の対象になり、掛け捨ての保険は対象になりません。結婚前からの保険は結婚後の払込期間の割合で分け、解約せずに代償金で清算する方法もよく使われます。
保険証券を拝見すれば、分与の対象と評価額の見通しをお伝えします。