監修:弁護士 佐藤 都(埼玉弁護士会所属/大宮ありあけ法律事務所)
子どものために、子ども名義の口座に毎月貯金をしてきた。祖父母からも、入学祝いや毎年のお小遣いを、その口座に入れてもらっている。離婚するとき、この口座の預金は「子どものもの」として、財産分与から外れるのだろうか。それとも、夫婦の財産として半分に分けるのだろうか。子ども名義の預金は、名義ではなく、そのお金がどこから来たかで判断されます。この記事では、その見分け方と、祖父母からの贈与が入っている場合の考え方、離婚後の管理の決め方を解説します。
こんな疑問はありませんか?
- 子ども名義の預金は、財産分与の対象になる?
- お年玉や祝い金を貯めた口座は?
- 祖父母からもらったお金が入っている場合は?
- 離婚後、子ども名義の預金は誰が管理する?
この記事でわかること
- 子ども名義の預金の見分け方(お金の出どころ)
- 祖父母からの贈与が入っている場合の考え方
- 夫婦の財産と子どもの財産が混ざっている場合
- 分与の対象にせず子どものために残す方法と、離婚後の管理
見分け方はお金の出どころ
子ども名義の預金が財産分与の対象になるかどうかは、名義ではなく、そのお金がどこから来たかで判断します。
| 夫婦の収入から積み立てたもの | 名義が子どもでも、実質は夫婦の財産として、財産分与の対象になるのが原則 |
|---|---|
| 子どもがもらったお年玉・祝い金・児童手当 | 子ども自身の財産として、財産分与の対象にならない |
| 祖父母などが子どものために贈与したもの | 子ども自身の財産として、財産分与の対象にならない(ただし、下の注意点がある) |
実務では、子ども名義の口座でも、親の収入から毎月振り込んでいたものは、夫婦の財産として分与の対象とした例が多くあります。
祖父母からの贈与が入っている場合
祖父母が、孫のためにお金を贈与し、それが子ども名義の口座に入っている場合、そのお金は子ども自身の財産で、財産分与の対象にはなりません。ただし、子どもの財産だといえるためには、次のような事情が大切です。
- 祖父母から、子ども名義の口座に直接振り込まれている
- 入学祝いや誕生日など、子どものためのお金だとわかるやりとり(手紙、LINEなど)がある
- その口座が、生活費の出し入れには使われていない
いったん夫婦の口座に入れた場合
祖父母からのお金を、いったん夫婦の生活費の口座に入れてから、子ども名義の口座に移した場合や、夫婦の口座のまま置いていた場合は、生活費と混ざって、夫婦の財産とみられやすくなります。その場合は、祖父母のお金であることと、それが今も残っていることを、お金の流れで示す必要があります。
POINT 祖父母からのお金は、子どもの財産になるのが原則ですが、ほかのお金と混ざると、「残っている」ことの証明が難しくなります。子ども名義の口座へ直接入れてもらう、記録を残す、といった工夫が大切です。
→ 混ざった口座の考え方は「預金の特有財産|結婚前の貯金と混ざった口座」
子ども名義の預金を含む財産分与のご相談をお受けしています
通帳の入金の内容を伺い、財産分与の対象になる部分と、子どもの財産として残せる部分の見通しをお伝えします。
夫婦のお金と子どものお金が混ざっている場合
1つの子ども名義の口座に、夫婦の収入からの積立てと、お年玉や祖父母からの贈与が両方入っている場合は、入金ごとに出どころを確認して、夫婦の財産の部分と子どもの財産の部分を分けて考えます。通帳の入金の記録(振込元の名前、時期、金額)が手がかりになります。
子どものために残す合意
夫婦の収入から積み立てた子ども名義の預金でも、双方が合意すれば、財産分与の対象から外して、「子どもの進学費用のために残す」と決めることができます。この場合、誰が管理するか、何に使うか、使い道を相手に報告するかなどを取り決めておくと、あとで争いになりません。
離婚後の管理と、別居前後の注意点
子ども自身の財産(お年玉や祖父母からの贈与など)は、離婚後は親権者が管理します。
別居の直前に、相手が子ども名義の預金を解約して持ち出すケースがあります。子ども名義の通帳や印鑑の保管場所を確認し、残高の記録を取っておきましょう。持ち出された場合は、夫婦の財産であれば財産分与の中で清算を求め、子どもの財産であれば子どもへの返還を求めることになります。
よくある質問
Q. 祖父母からのお金か、夫婦の積立てか、区別がつかない
通帳の入金の振込元や時期から確認します。現金で入金していた場合は、祖父母とのやりとりなど、ほかの資料で示すことになります。
Q. 子どもが18歳を過ぎている
成年の子ども名義の預金でも、お金の出どころで判断します。子ども自身が管理している預金は、分与の対象になりにくくなります。
Q. 相手の親(祖父母)からの贈与を、相手が返せと言っている
子どものための贈与であれば、子ども自身の財産です。夫婦のどちらかに返す必要はありません。
まとめ
子ども名義の預金は、名義ではなくお金の出どころで判断し、夫婦の収入から積み立てたものは財産分与の対象、お年玉や祝い金、祖父母からの贈与は子ども自身の財産です。ただし、祖父母からのお金でも、夫婦の口座に入れて生活費と混ざると夫婦の財産とみられやすく、「残っている」ことの証明が難しくなります。
お子さんのためのお金をどう守るか、通帳を持ってご相談ください。