子どもを連れ去られたら|監護者指定と引渡し

監修:弁護士 佐藤 都(埼玉弁護士会所属/大宮ありあけ法律事務所)

仕事から帰ったら、妻と子どもがいなくなっていた。電話もつながらず、どこにいるのかもわからない。夫が子どもを連れて実家に帰り、「もう返さない」と言っている。突然子どもを連れて行かれた親は、強い不安と怒りの中で、何から手をつければよいかわからなくなりがちです。けれど、子どもを取り戻すための手続きは、時間との勝負です。この記事では、子どもを連れて行かれたときに、すぐにすべきことと、家庭裁判所での手続きの流れを解説します。

こんな疑問はありませんか?

  • 子どもを連れて行かれたら、すぐに取り戻せる?
  • 警察に相談すれば、連れ戻してもらえる?
  • 家庭裁判所には、何を申し立てればいい?
  • 自分で連れ戻しに行ってもいい?

この記事でわかること

  • 子どもを連れて行かれたときに、最初にすべきこと
  • 監護者指定・子の引渡しの審判と、審判前の保全処分
  • 早く動くべき理由(時間がたつほど不利になる)
  • 自力で連れ戻すことのリスク

最初にすべきこと

  • 子どもと相手の居場所を確認する(実家、知人宅など)
  • これまで自分が子どもの世話をしてきたことがわかる資料をまとめる(保育園の連絡帳、送迎の記録、写真、母子手帳など)
  • 相手とのやりとり(LINE、メール)を保存する
  • 子どもの保育園や学校に事情を伝え、勝手な引取りがないよう相談する
  • できるだけ早く、弁護士に相談する

警察に相談しても、親が自分の子どもを連れて行った場合は、暴力などがない限り、家庭内の問題として介入してもらえないことがほとんどです。子どもを取り戻すには、家庭裁判所の手続きが必要になります。

家庭裁判所に申し立てる手続き

子どもを連れて行かれた場合は、家庭裁判所に、次の手続きをあわせて申し立てるのが一般的です。

監護者の指定離婚が成立するまでの間、どちらの親が子どもを監護(世話・養育)するかを決めてもらう
子の引渡し自分が監護者に指定されることを前提に、相手に子どもを引き渡すよう命じてもらう
審判前の保全処分審判が出るまで待っていては子どもに不利益が生じる場合に、仮に監護者を定め、引渡しを命じてもらう

話し合い(調停)から始めることもできますが、子どもを早く取り戻したい場合は、調停ではなく審判を申し立てるのが一般的です。審判は、裁判所が双方の言い分と資料をもとに判断する手続きです。

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早く動くべき理由

監護者を決めるとき、裁判所は、今の生活の安定(監護の継続性)も重視します。子どもを連れて行かれてから時間がたつほど、相手のもとでの生活が「安定している」とみられやすくなり、取り戻すことが難しくなります。

POINT 子どもを連れて行かれたら、数日から数週間のうちに手続きを始めることが大切です。「少し様子を見よう」「話し合えば返してくれるかも」と待っている間にも、状況は不利になっていきます。

自分で連れ戻すことのリスク

「自分の子どもなのだから、連れ戻して何が悪い」と考えて、保育園の帰りに待ち伏せしたり、相手の実家に押しかけたりして連れ戻そうとすると、次のようなリスクがあります。

  • 相手と子どもの安全を害する行為として、監護者の判断で大きく不利になる
  • 状況によっては、未成年者略取などの刑事責任を問われるおそれがある
  • 子どもに強い心の負担を与える

どれほど納得できなくても、子どもを取り戻すのは、裁判所の手続きによって行いましょう。

手続きの流れ

  • 弁護士と打ち合わせ、これまでの監護の状況と、連れて行かれた経緯を整理する
  • 家庭裁判所に、監護者指定・子の引渡しの審判と、保全処分を申し立てる
  • 裁判所での審問(双方の言い分を聞く手続き)が開かれる
  • 家庭裁判所調査官が、双方の家庭を訪問するなどして、子どもの状況を調べる
  • 裁判所が審判(保全処分は先に判断)を出す

よくある質問

Q. 相手の居場所がわからない

相手の実家などの心当たりがあれば、そこを住所として申し立てることができます。住民票の異動などから調べる方法もあります。

Q. 子どもに会わせてもらえない

監護者指定の手続きとあわせて、面会交流の申立てをすることもできます。審判の間も、子どもとの交流を求めていくことが大切です。

Q. 主に子どもの世話をしていたのは相手だった

主たる監護者が相手の場合は、引渡しが認められにくいこともあります。監護の実態を整理したうえで、見通しをお伝えします。

まとめ

子どもを連れて行かれた場合、警察では対応してもらえないことが多く、家庭裁判所に監護者指定・子の引渡しの審判と、審判前の保全処分を申し立てるのが基本です。時間がたつほど相手のもとでの生活が安定しているとみられやすくなるため、早く動くことが大切です。自力で連れ戻すことは避けましょう。

お子さんを連れて行かれたら、すぐにご相談ください。

この記事の監修

弁護士 佐藤 都(埼玉弁護士会所属/大宮ありあけ法律事務所)

上智大学法学部、北海道大学法科大学院卒業。
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