不倫したら親権は取れない?|監護者への影響

監修:弁護士 佐藤 都(埼玉弁護士会所属/大宮ありあけ法律事務所)

自分が不倫をしてしまい、別居することになった。子どもは自分が育ててきたのに、相手から「不倫をした親に子どもは任せられない。親権も監護権も渡さない」と言われている。不倫をしたら、子どもを育てる権利はなくなってしまうのだろうか。逆に、相手が不倫をしたのだから、自分が親権者・監護者になれるはずだ、と考える方もいます。この記事では、不倫が親権や監護者の判断にどう影響するのか、影響する場合としない場合を解説します。

こんな疑問はありませんか?

  • 不倫をした親は、親権や監護権を取れない?
  • 相手が不倫をしたら、自分が有利になる?
  • 不倫が不利に働くのは、どんな場合?
  • 不倫相手と一緒に暮らす場合はどうなる?

この記事でわかること

  • 不倫そのものは、親権・監護者の判断に直接影響しないこと
  • 不倫が不利に働く場合
  • 不倫をした側が気をつけたいこと
  • 慰謝料・婚姻費用との関係

不倫そのものは直接影響しない

親権者や監護者は、「子どもにとって、どちらの親のもとで暮らすのがよいか」という子どもの利益を基準に決められます。不倫は夫婦の間の問題で、親として子どもを育てる能力とは別の問題と考えられているため、不倫をしたこと自体で、親権や監護権を取れなくなるわけではありません。

実際に重視されるのは、これまで主に子どもの世話をしてきたのはどちらか(主たる監護者)、今の生活が安定しているか、子どもの意思などです。主に子どもを育ててきた親であれば、不倫をしていても、監護者や親権者に指定されることは十分にあります。

POINT 「不倫をした親には子どもを渡さない」という主張は、それだけでは通りません。不倫は慰謝料の問題として扱われ、親権・監護者の問題とは切り分けて考えられます。

不倫が不利に働く場合

ただし、不倫が子どもの監護に悪い影響を与えていた場合は、親権・監護者の判断で不利に働くことがあります。

育児をおろそかにしていた不倫相手と会うために、子どもを長時間一人にしていた、食事の世話をしなかったなど
子どもを巻き込んでいた子どもを不倫相手との密会に連れて行った、子どもの前で親密な行動をしていた
子どもに悪影響がある環境不倫相手との同居で、子どもが不安定になっている、不倫相手が子どもに暴力をふるうおそれがある
子どもを置いて家を出た不倫相手のもとへ行くために、子どもを置いて家を出て、その後の監護の実績がない

逆にいえば、不倫をしていても、子どもの世話をきちんと続けていれば、不倫が監護の判断で大きく不利に働くことは多くありません。

不倫と親権・監護権のご相談をお受けしています
不倫をした側・された側のどちらからも、子どもの監護についての見通しと進め方をお伝えします。

不倫相手と一緒に暮らす場合

別居後に、不倫相手と子どもと一緒に暮らすこと自体が、直ちに不利になるわけではありません。ただ、不倫相手が子どもとどのような関係を築けるか、子どもが新しい環境に適応できているかは、家庭裁判所調査官の調査などで確認されます。

子どもが不倫相手との同居で不安定になっている場合や、不倫相手の生活態度に問題がある場合は、不利に働くことがあります。

不倫をした側が気をつけたいこと

  • 子どもの世話をこれまでどおり続け、育児の記録を残す
  • 別居後も、子どもの生活環境(保育園・学校など)をできるだけ変えない
  • 不倫相手との関係に子どもを巻き込まない
  • 相手と子どもの面会交流には協力する
  • 慰謝料の問題は、子どもの監護の問題と分けて、冷静に対応する

不倫された側の方へ

相手の不倫を理由に、親権や監護者の判断で有利になるとは限りません。相手が主に子どもを育ててきた場合は、相手が監護者に指定されることもあります。親権・監護者を求めるなら、不倫の事実よりも、ご自身がこれまで子どもとどう関わってきたか、これからどう育てていくかを示すことが大切です。

一方で、相手が不倫によって育児をおろそかにしていた事実があれば、その点は具体的な証拠とともに主張できます。

慰謝料・婚姻費用との関係

不倫をした側は、相手から慰謝料を請求されることがあります。また、不倫をした側が別居して婚姻費用を請求する場合、自分の生活費の分は認められないか減額されますが、子どもと暮らしていれば、子どもの分は認められます。

よくある質問

Q. 不倫が原因で離婚する場合、養育費はもらえない?

養育費は子どもの権利なので、親の不倫を理由に請求できなくなることはありません。子どもと暮らす親は、不倫をした側であっても、相手に養育費を請求できます。

Q. 相手が「不倫をばらす」と言って親権を諦めさせようとする

不倫の事実と親権の判断は別の問題です。脅しのような言動があれば、その記録を残し、弁護士にご相談ください。

Q. 共同親権を選べば解決する?

2026年4月からは離婚後の共同親権も選べますが、子どもとどちらが暮らすか(監護者)の問題は残ります。不倫の有無ではなく、子どもの利益で決められます。

まとめ

不倫をしたこと自体で、親権や監護権を取れなくなるわけではありません。親権者・監護者は、主たる監護者や生活の安定など、子どもの利益を基準に決められます。ただし、不倫によって育児をおろそかにしていた、子どもを巻き込んでいたなど、監護に悪い影響があった場合は、不利に働くことがあります。

不倫をした側も、された側も、子どもの監護の問題は慰謝料と切り分けて考えることが大切です。ご相談ください。

この記事の監修

弁護士 佐藤 都(埼玉弁護士会所属/大宮ありあけ法律事務所)

上智大学法学部、北海道大学法科大学院卒業。
弁護士紹介を見る →