建設業の父が肺がんで死亡|アスベストが原因?

監修:弁護士 和田 慈朗(埼玉弁護士会所属/大宮ありあけ法律事務所)

父は長く建設の仕事をしていて、数年前に肺がんで亡くなった。たばこも吸っていたから、肺がんは仕方ないと思っていた。でも最近、建設業の肺がんはアスベストが原因のことがあり、ご遺族に補償があると聞いた。父の肺がんも、アスベストが原因だったのだろうか。肺がんは、中皮腫と違って、たばこなどほかの原因でも起こるため、「アスベストが原因の肺がん」と認められるには、一定の条件があります。この記事では、ご遺族が確認できるポイントと、認められた場合に受けられる補償を解説します。

こんな疑問はありませんか?

  • たばこを吸っていた父の肺がんも、アスベストが原因と認められる?
  • 認められるための条件は?
  • 亡くなった後でも、確認できる?
  • 認められたら、どんな補償がある?

この記事でわかること

  • 肺がんがアスベストが原因と認められるための主な条件
  • たばこを吸っていても認められること
  • 亡くなった後にご遺族が確認できる資料(画像・病理標本・職歴)
  • 認められた場合の補償(労災・特別遺族給付金・建設アスベスト給付金)

肺がんは「アスベストが原因」の確認が必要

中皮腫は、アスベスト以外でほとんど起こらない病気なので、吸った経緯がわかれば認められやすい病気です。一方、肺がんはたばこなどでも起こるため、労災や給付金では、「アスベストを一定以上吸っていた」ことを、職歴や医学的な所見で確認する仕組みになっています。

ただし、たばこを吸っていたからといって、認められないわけではありません。条件を満たせば、喫煙歴があっても、アスベストが原因の肺がんとして補償の対象になります。

認められるための主な条件

労災では、アスベストを吸う作業に従事していたことに加えて、次のいずれかに当てはまる場合に、アスベストが原因の肺がんとして認められます。

胸膜プラーク+作業10年以上レントゲンやCTで胸膜プラーク(アスベストを吸った跡)があり、アスベストを吸う作業に10年以上従事していた
広い胸膜プラーク+作業1年以上胸膜プラークが広い範囲にある場合は、作業が1年以上でよい
石綿小体・石綿繊維の量肺の組織の中に、一定以上の数の石綿小体(アスベストの繊維が体内で変化したもの)や石綿繊維がある
石綿肺があるじん肺管理区分が管理2以上の石綿肺があり、その合併症としての肺がん
特定の作業に5年以上石綿の吹付け、石綿製品の製造など、特にアスベストを吸いやすい作業に5年以上従事していた
びまん性胸膜肥厚びまん性胸膜肥厚があり、作業が3年以上

POINT 建設業の方で多いのは「胸膜プラーク+作業10年以上」です。建設現場で10年以上働いていた方なら、画像に胸膜プラークがあるかどうかが、大きなポイントになります。

建設業だったご家族を肺がんで亡くされた方のご相談をお受けしています
職歴と病気の資料を確認し、アスベストが原因と認められる見込みと、使える制度をお伝えします。

亡くなった後にご遺族が確認できること

胸膜プラークの有無生前に撮ったレントゲン・CTの画像を病院から取り寄せて、専門の医師に読んでもらう
石綿小体の量手術や検査で採った肺の組織(病理標本)が病院に残っていれば、石綿小体の数を調べることができる
職歴と作業内容年金の記録で勤め先と期間を確認し、同僚の証言などで作業内容(アスベストを扱う現場だったか)を裏付ける

画像や病理標本は、亡くなった後でも病院に保存されていることが多く、ご遺族が取り寄せられます。保存期間があるため、早めの確認が大切です。

認められた場合の補償

労災の遺族補償亡くなった日の翌日から5年以内に請求。遺族年金または遺族一時金、葬祭料
特別遺族給付金労災の5年を過ぎていても、2026年3月26日までに亡くなった方のご遺族は、2032年3月27日まで請求できる
建設アスベスト給付金建設現場の作業が対象。肺がんで亡くなった場合は1,300万円。診断日または死亡日から20年以内
国・会社への損害賠償一定の時期の作業が対象。相続人が請求する

まず確認したいこと

  • 亡くなった方が、建設現場でどんな作業をしていたか(大工、内装、配管、解体、電気、塗装など)と、その期間
  • 死亡診断書の病名(肺がん、原発性肺がん、など)
  • 生前に通っていた病院の名前(画像や病理標本の取り寄せ先)
  • たばこの有無は、認められるかどうかには直接関係しない

よくある質問

Q. 父は大工で、建設現場に30年以上いた。それだけで認められる?

作業の期間だけでは足りず、胸膜プラークや石綿小体などの医学的な所見が必要です。画像や病理標本の取り寄せから進めます。

Q. 画像も病理標本も残っていなかった

石綿肺やびまん性胸膜肥厚の記録、生前の診断書の記載など、ほかの資料で認められる場合もあります。あきらめずにご相談ください。

Q. 亡くなってから7年たっている

労災の5年は過ぎていますが、特別遺族給付金や建設アスベスト給付金(20年)は請求できる可能性があります。

まとめ

建設業だった方の肺がんは、胸膜プラークと10年以上の作業、肺の組織の石綿小体の量などの条件を満たせば、たばこを吸っていても、アスベストが原因の肺がんとして補償の対象になります。亡くなった後でも、画像や病理標本を病院から取り寄せて確認でき、認められれば労災・特別遺族給付金・建設アスベスト給付金などを受けられます。

「たばこのせいだと思っていた」という方も、一度ご相談ください。

この記事の監修

弁護士 和田 慈朗(埼玉弁護士会所属/大宮ありあけ法律事務所)

社会保険労務士試験合格。官公庁での勤務を経て弁護士に。
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