相続人と連絡が取れない|遺産分割の進め方

監修:弁護士 齊藤 翔平(埼玉弁護士会所属/大宮ありあけ法律事務所)

父が亡くなって遺産分割をしようとしたら、父の前の結婚でできた子どもがいることがわかった。あるいは、兄弟の一人と何年も連絡が取れず、どこに住んでいるのかもわからない。遺産分割は相続人全員で行う必要があるため、連絡が取れない相続人がいると、手続きが止まってしまいます。

ただ、連絡が取れない相続人がいても、住所を調べて連絡を取ったり、家庭裁判所の手続きを使ったりして、遺産分割を進める方法があります。

この記事では、相続人の調べ方と、連絡が取れない場合の進め方を解説します。

こんな疑問はありませんか?

  • 会ったこともない相続人がいるとわかった
  • 相続人の住所がわからない
  • 手紙を送っても返事がない
  • 行方不明の相続人がいる
  • 連絡が取れない人を除いて、遺産分割してもいい?

この記事でわかること

  • 相続人の確定と、住所の調べ方
  • 連絡を取るときのポイント
  • 返事がない場合の調停
  • 行方がわからない場合の不在者財産管理人

まずは相続人を確定し、住所を調べる

亡くなった方の出生から死亡までの戸籍を集めると、相続人が誰かを確定できます。思いがけない相続人(前の結婚の子、認知した子など)がわかることもあります。

相続人の現在の住所は、その人の戸籍の附票を取り寄せることで調べられる場合があります。弁護士に依頼すれば、戸籍や住民票などを職務上請求で取り寄せ、相続人の調査を進めることができます。

POINT 連絡が取れない相続人を除いて遺産分割をしても、その遺産分割は無効になります。必ず相続人全員を確認しましょう。

手紙で連絡するときのポイント

  • 亡くなった方との関係と、自分が誰かを、丁寧に説明する
  • 遺産の内容と、遺産分割を進めたいことを伝える
  • いきなり書類へのサインを求めず、まずは返事をもらうことを目的にする
  • 返事の方法(電話、手紙、メールなど)を示しておく

面識のない相続人に突然書類が届くと、警戒されることもあります。弁護士から連絡することで、反応が得られることも少なくありません。

相続人の調査からご相談いただけます
戸籍の収集や連絡、必要な裁判所の手続きまでお手伝いします。

住所はわかるが、返事がないとき

手紙を送っても返事がない場合は、家庭裁判所に遺産分割調停を申し立てることを検討します。調停にも出てこない場合は、最終的に審判で、裁判官が遺産の分け方を決めます。

行方がまったくわからないとき

住所を調べても、その場所に住んでおらず、行方がわからない場合は、家庭裁判所に「不在者財産管理人」の選任を申し立てます。選ばれた不在者財産管理人が、行方不明の相続人に代わって、遺産分割に参加します。

POINT 不在者財産管理人の選任には、家庭裁判所に予納金を納める必要がある場合があります。費用の見込みも含めて、事前に確認しておきましょう。

長い期間、生死がわからない場合は、失踪宣告という手続きを検討することもあります。

所在がわからない相続人の持分を取得する方法(2023年改正)

遺産に不動産が含まれている場合、2023年4月1日に施行された改正民法で、所在がわからない共有者の持分を、ほかの共有者が裁判所の決定を得て取得したり、不動産全体を第三者に売却したりできる手続きが新しくできました。

  • 地方裁判所に「所在等不明共有者の持分の取得(または譲渡権限の付与)」を申し立てる
  • 裁判所が定めた金額(持分の時価に相当する額)を供託する
  • 裁判所の決定が出ると、所在がわからない相続人の持分を取得でき、不動産の名義を変えられる

ただし、相続で共有になっている不動産(遺産共有)については、相続が始まってから10年を過ぎていることが必要です。10年を過ぎていない場合や、不動産以外の遺産を分ける場合は、不在者財産管理人を選任して遺産分割を進める方法を取ります。

POINT 相続から10年以上たっていて、遺産が実家などの不動産だけという場合は、この新しい手続きで、連絡の取れない相続人の持分を取得して解決できることがあります。

早めの対応が大切な理由

遺産分割をしないまま時間がたつと、相続人が亡くなって、さらに相続人が増えるなど、手続きがより複雑になることがあります。不動産の相続登記にも期限があるため、連絡が取れない相続人がいるとわかったら、早めに手続きを始めましょう。

よくある質問

Q. 相続人が海外に住んでいます。

海外に住んでいる相続人とも、遺産分割をすることができます。書類の手続きが通常とは異なるため、早めに準備を始めましょう。

Q. 相続人の一人が、話し合いに協力してくれません。

協力してもらえない場合は、遺産分割調停を申し立てることで、手続きを前に進めることができます。

Q. 相続人が多くて、誰が相続人かわかりません。

戸籍をたどって、相続人を確定する必要があります。相続関係を整理した図(相続関係説明図)の作成もお手伝いできます。

まとめ

連絡が取れない相続人がいても、住所の調査、調停、不在者財産管理人の選任などの方法で、遺産分割を進められます。

どの方法がよいかは状況によって異なるため、まずはご相談ください。

この記事の監修

弁護士 齊藤 翔平(埼玉弁護士会所属/大宮ありあけ法律事務所)

青山学院大学法学部卒業。
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