財産分与は必ず半分?|2分の1にならない例

監修:弁護士 佐藤 都(埼玉弁護士会所属/大宮ありあけ法律事務所)

財産分与は「夫婦で半分ずつ」と聞くが、自分は医師として働き、妻は専業主婦だった。財産のほとんどは自分の収入で築いたのに、本当に半分渡さないといけないのか。逆に、「夫がギャンブルで財産を減らしたのに、残った財産を半分しかもらえないのは納得できない」という相談もあります。財産分与の「2分の1ルール」は原則ですが、例外もあります。この記事では、2分の1にならない場合と、その主張のしかたを解説します。

こんな疑問はありませんか?

  • 専業主婦(主夫)でも、財産分与は半分?
  • 高収入の専門職の場合は、半分にならない?
  • 相手の浪費で財産が減った場合は?
  • 結婚前の財産を元手に増やした財産は?

この記事でわかること

  • 2分の1ルールの考え方と、専業主婦でも半分になる理由
  • 2分の1が修正される場合(特別な資格・能力、特有財産の寄与、浪費)
  • 修正の程度の目安
  • 主張に必要な資料

2分の1ルールの考え方

財産分与では、結婚している間に夫婦が協力して築いた財産を、原則として2分の1ずつ分けます。収入を得る働きと、家事や育児による支えは、どちらも財産を築くための貢献として同じ価値があると考えられているためです。

2026年4月施行の改正民法では、夫婦の寄与の程度が異なることが明らかでないときは対等とすることが、条文にも明記されました。そのため、一方が専業主婦(主夫)で収入がなくても、財産分与の割合は2分の1が原則です。「自分の収入で築いた財産だから」という理由だけでは、2分の1は変わりません。

2分の1が修正される場合

ただし、2分の1が修正されるのは、かなり例外的な場合に限られます。実際の調停や裁判では、ほとんどの事案が2分の1で分けられており、「相手より収入が多い」「自分のほうが家計に貢献した」といった事情だけで割合が変わることは、まずありません。そのうえで、家庭裁判所の実務で、例外的に2分の1が修正されることがあるのは、次のような場合です。

特別な資格や能力による高収入医師、弁護士、経営者、スポーツ選手など、一方の特別な能力や努力によって、通常の夫婦とは比べものにならない高額の財産が築かれた場合。配偶者の貢献の割合が小さいとして、3割〜4割程度に修正された例がある
特有財産の寄与結婚前の財産や相続した財産を元手にして財産が増えた場合、その部分は特有財産の寄与として、分与の割合で考慮される
一方の浪費・不始末ギャンブルや浪費で財産を大きく減らした側に対して、その分を考慮して割合を減らす(または減らした額を財産に戻して計算する)
別居期間が長い・協力関係が薄い同居期間が短い、長期間別居して家計が別だった場合に、割合が修正されることがある

POINT 2分の1以外になるのは、かなり例外的な場合です。高収入というだけでは修正されず、修正が認められるのは、「特別な資格や能力」によって通常の夫婦では考えられないほどの財産が築かれた場合などに限られます。年収1,000万円程度の会社員であれば、2分の1が原則です。

財産分与の割合のご相談をお受けしています
財産形成の経緯を伺い、2分の1の修正を主張できるか、またはされる可能性があるかをお伝えします。

修正の程度

修正される場合も、極端な割合になることは少なく、裁判例では、高収入の専門職のケースで、収入の少ない側の取り分を3割程度とした例などがあります。浪費のケースでは、浪費した額を財産に戻して計算する(浪費した側の取り分から差し引く)方法が取られることもあります。

主張に必要な資料

  • 特別な資格・能力の主張:収入の推移、資格の取得時期、財産が増えた経緯
  • 特有財産の寄与の主張:結婚前の預金残高、相続・贈与の資料、特有財産がどの財産に変わったかの流れ
  • 浪費の主張:通帳の取引履歴、ギャンブルや借金の証拠、使い道の説明がない引出しの記録

半分を主張する側の対応

相手から「自分の能力で築いた財産だから半分は渡せない」と言われた場合は、家事・育児による貢献や、相手が働くことを支えてきた実態(転勤についていった、仕事を辞めたなど)を具体的に主張します。

よくある質問

Q. 共働きで、自分のほうが収入が多かった

共働きで収入に差がある程度では、2分の1が原則です。特別な資格や能力による格差がある場合に、修正が問題になります。

Q. 相手が家事をまったくしなかった

家事の分担の偏りだけで2分の1が修正されることは少ないですが、極端な場合は、貢献の程度として考慮される余地があります。

Q. 妻の浪費が原因で貯金がない

浪費の証拠があれば、浪費した額を財産に戻して計算するよう主張できます。

まとめ

財産分与は2分の1ずつが原則で、専業主婦(主夫)でも半分が基本です。2分の1以外になるのは、かなり例外的な場合に限られます。そのうえで、医師や経営者など特別な資格・能力による高額の財産、特有財産の寄与、一方の浪費などがある場合は、割合が修正されることがあります。修正の主張には、財産形成の経緯を示す資料が必要です。

2分の1の修正を主張する側も、半分を求める側も、資料をもとに見通しをお伝えします。

この記事の監修

弁護士 佐藤 都(埼玉弁護士会所属/大宮ありあけ法律事務所)

上智大学法学部、北海道大学法科大学院卒業。
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