監修:弁護士 佐藤 都(埼玉弁護士会所属/大宮ありあけ法律事務所)
子どもを連れて別居したら、しばらくして家庭裁判所から書類が届いた。夫が「監護者の指定」と「子の引渡し」を申し立てたという。子どもを取り上げられてしまうのだろうか。何をどう準備すればよいのか。子どもを連れて別居した親が、相手から監護者指定や子の引渡しを申し立てられることは、珍しくありません。この記事では、申し立てられたときの手続きの流れと、準備しておくべきこと、気をつけたいことを解説します。
こんな疑問はありませんか?
- 家庭裁判所から書類が届いたら、まず何をすればいい?
- 子どもを取り上げられてしまう?
- どんな資料を準備すればいい?
- 保全処分も申し立てられている場合は?
この記事でわかること
- 届いた書類と、手続きの流れ
- 裁判所が判断で重視する点と、こちらが示すべきこと
- 準備しておきたい資料
- 保全処分も申し立てられた場合の注意点
届く書類と手続きの流れ
相手が申し立てると、家庭裁判所から、申立書の写しと、期日の呼出状、事情を尋ねる照会書(回答書)などが届きます。
- 照会書に回答し、期日までに、こちらの言い分をまとめた書面(答弁書・陳述書)と資料を提出する
- 期日(審問)に出席し、裁判官に事情を説明する
- 家庭裁判所調査官が、家庭訪問や子どもとの面接などの調査をする
- 調査の結果も踏まえて、裁判所が判断(審判)する
書類には提出の期限が書かれています。期限までに準備が間に合わないこともあるため、書類が届いたら、すぐに弁護士に相談することをおすすめします。
子どもを取り上げられてしまう?
申し立てられたからといって、子どもを取り上げられると決まったわけではありません。裁判所は、どちらの親のもとで暮らすことが子どもの利益になるかを、次のような点から判断します。
- これまで主に子どもの世話をしてきたのはどちらか(主たる監護者)
- 別居後の子どもの生活が安定しているか(継続性)
- 子どもの年齢と意思
- 別居の経緯(連れ出し方に問題がなかったか)
- 相手と子どもの交流に協力的か
POINT これまで主に子どもの世話をしてきて、別居後も子どもの生活が安定しているなら、そのことを具体的な資料で示すことが、最も大切な対応です。
→ 判断の基準は「監護者はどう決まる?|裁判所が見るポイント」
監護者指定・子の引渡しを申し立てられた方のご相談をお受けしています
書類が届いたら、すぐにご相談ください。期日までの準備と、裁判所への主張の組み立てをサポートします。
準備しておきたい資料
- 同居中の育児の分担がわかる資料(母子手帳、保育園の連絡帳、送迎・通院の記録、写真)
- 別居後の生活の状況(住まい、保育園・学校、子どもの様子、サポートしてくれる家族)
- 別居に至った経緯がわかる資料(相手の暴言やDVの記録、話し合いのやりとり)
- 子どもの健康状態や、通院・療育の状況
- ご自身の仕事と、子育ての時間の確保の方法
気をつけたいこと
- 相手と子どもの面会には、できるだけ応じる姿勢を示す(面会を拒み続けると、相手との交流に非協力的とみられる)
- 子どもに相手の悪口を言わない、手続きのことで子どもを巻き込まない
- 相手と直接口論にならないよう、連絡は文章で、必要なら弁護士を通じて行う
- 調査官の家庭訪問の前に、生活の環境を整えておく
→ 調査官の調査は「家庭裁判所調査官の調査|家庭訪問で見られる点」
保全処分も申し立てられている場合
相手が、審判前の保全処分もあわせて申し立てている場合は、通常より早いスケジュールで審問が開かれ、短い期間で判断が出ます。準備の時間が限られるため、特に早めの対応が必要です。
保全処分が認められるには、子どもに差し迫った危険があるなどの緊急性が必要です。子どもの生活が安定していることを示せれば、保全処分は認められにくくなります。
DVやモラハラから逃れて別居した場合
相手の暴力や暴言から逃れるために子どもを連れて別居した場合は、その事情を資料とともに示すことで、別居の経緯に問題がないことを説明できます。相手に住所を知られたくない場合は、裁判所に提出する書類で住所を伏せる方法もあります。
よくある質問
Q. 審問には必ず出席しないといけない?
原則として出席が必要です。弁護士が代理人として同席し、事情の説明をサポートします。
Q. 子どもが相手のところに行きたいと言ったら?
子どもの意思は、年齢に応じて尊重されます。おおむね10歳以上であれば、意向が重視されやすくなります。
Q. 相手が面会交流で子どもを連れて帰らないか心配
面会の方法(場所、時間、受渡しの方法、第三者の立会い)を取り決めることで、不安を減らせます。
まとめ
子どもを連れて別居した後に、相手から監護者指定や子の引渡しを申し立てられても、子どもを取り上げられると決まったわけではありません。これまでの監護の実績と、別居後の安定した生活を、資料で具体的に示すことが大切です。面会交流には協力的な姿勢を示しましょう。
家庭裁判所から書類が届いたら、提出の期限があるので、すぐにご相談ください。