監修:弁護士 佐藤 都(埼玉弁護士会所属/大宮ありあけ法律事務所)
離婚したいが、相手は応じてくれない。こういう場合、裁判で離婚が認められるには、法律で決められた「離婚の原因(法定離婚事由)」が必要です。逆に、相手が同意してくれれば、理由は問われません。この記事では、離婚の原因が問題になる場面と、法律で決められた4つの原因、よく相談される「性格の不一致」「モラハラ」「不倫した側からの離婚」がどう扱われるかを、まとめて解説します。詳しい内容は、それぞれの記事へ進んでください。
こんな疑問はありませんか?
- 離婚するのに、理由は必要?
- 法律で決まっている離婚の原因とは?
- 性格の不一致やモラハラは、離婚の原因になる?
- 自分が不倫をした側でも、離婚できる?
この記事でわかること
- 離婚の原因が問題になるのは、相手が離婚に応じない場合であること
- 法律で決められた4つの離婚原因(2026年4月の改正で変わった点)
- よく相談される理由(性格の不一致・モラハラ・別居)の扱い
- 不倫をした側からの離婚請求
離婚の原因が問題になるのは、相手が応じないとき
離婚には、話し合いによる協議離婚、家庭裁判所での調停離婚、裁判による裁判離婚があります。協議離婚と調停離婚は、夫婦が合意すれば理由を問わず離婚できます。
一方、相手が離婚に応じない場合は、最終的に裁判で離婚を求めることになり、そのときに、法律で決められた離婚の原因(法定離婚事由)が必要になります。
→ 相手が応じないときの進め方は「相手が離婚に応じない|離婚を進める方法」
法律で決められた離婚の原因
| 1. 不貞行為 | 配偶者が、ほかの人と性的な関係を持った(不倫) |
|---|---|
| 2. 悪意の遺棄 | 正当な理由なく、生活費を渡さない、家を出て帰ってこないなど、夫婦の義務を果たさない |
| 3. 3年以上の生死不明 | 配偶者が生きているか亡くなっているかわからない状態が3年以上続いている |
| 4. 婚姻を継続し難い重大な事由 | 夫婦関係が壊れて、回復の見込みがないといえる事情(モラハラ、DV、長期の別居、性格の不一致からの破綻など) |
以前は「配偶者が強度の精神病にかかり、回復の見込みがないとき」も離婚原因の一つでしたが、2026年4月1日施行の改正民法で、この項目は削除されました。病気を理由とする離婚は、4の「婚姻を継続し難い重大な事由」に当たるかどうかで判断されます。
POINT 実際の裁判で最も多いのは、4の「婚姻を継続し難い重大な事由」です。性格の不一致、モラハラ、長期の別居などは、この事由に当たるかどうかが問題になります。
離婚できるかどうかのご相談をお受けしています
ご夫婦の状況を伺い、裁判で離婚が認められる見通しと、進め方をお伝えします。
よく相談される理由の扱い
| 性格の不一致 | それだけでは離婚原因になりにくいが、別居が長く続けば(目安3〜5年程度)、破綻として認められることがある |
|---|---|
| モラハラ | 人格を否定する言動や厳しい金銭管理が繰り返され、夫婦関係が壊れていれば、離婚原因になる。証拠が大切 |
| DV(暴力) | 離婚原因になる。診断書や写真、警察・相談機関の記録を残す |
| 別居 | 別居そのものは原因ではないが、長期の別居は破綻を示す重要な事情 |
| セックスレス・浪費・借金 | 程度や経緯によっては、婚姻を継続し難い重大な事由に当たる |
不倫をした側からの離婚請求
夫婦関係を壊した原因を作った側(有責配偶者)からの離婚請求は、原則として認められません。ただし、別居が相当長期間に及ぶ、未成熟の子どもがいない、相手が過酷な状況に置かれない、といった条件を満たせば、例外的に認められることがあります。
離婚の原因と慰謝料
不貞行為やDVなど、相手に離婚の原因がある場合は、離婚とあわせて慰謝料を請求できます。性格の不一致のように、どちらが悪いともいえない場合は、原則として慰謝料は発生しません。
→ 「不倫相手に慰謝料を請求したい」
よくある質問
Q. 相手が離婚に同意しているなら、理由は何でもいい?
協議離婚や調停離婚は、夫婦が合意すれば理由を問いません。離婚原因が問題になるのは、裁判になった場合だけです。
Q. 離婚の原因の証拠は、どんなものが必要?
不倫なら写真やメッセージ、モラハラなら録音や日記、DVなら診断書など、原因ごとに違います。それぞれの記事で解説しています。
Q. 離婚の原因があれば、必ず離婚できる?
原因があっても、裁判所が「それでも婚姻を続けるのが相当」と判断する場合(裁量棄却)がごくまれにあります。ほとんどの場合は離婚が認められます。
まとめ
相手が離婚に応じない場合、裁判で離婚するには法律で決められた離婚の原因(不貞、悪意の遺棄、3年以上の生死不明、婚姻を継続し難い重大な事由)が必要です。性格の不一致やモラハラ、長期の別居は、婚姻を継続し難い重大な事由に当たるかどうかで判断されます。
離婚できるかどうかは、事情と証拠で変わります。お気軽にご相談ください。